キノの旅〈3〉the Beautiful World

2023年6月2日

キノの旅 (3) The Beautiful World (電撃文庫)
時雨沢 恵一
メディアワークス
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・「愛と平和の国」
初っ端からなんとも皮肉なお話。
確かにどちらの国も嫌かも。日本も微妙なとろこかもだけど。
リクは可愛い。
・プロローグ「愛の中で・b」
エピローグを読んでやっと意味が分かる系の話かな?
・第一話「城壁のない国」
城壁の代わりにとんでもない鎖というか枷のある国だな。
なにもそんなやり方で部族を存続させなくても…と思うけど、あの中で育つとそんな生き方が普通になってしまうのかも。
ラウアーさんがキノを助けてくれた理由とか子供たちのこととか、珍しく素直に好感を持てる人物が出てきた気がする。
なのに、ラストがあれなのはこのシリーズらしいな。
うーん、子供たちの行動も分からなくはないけど…
・第二話「説得力」
キノも昔はよくも悪くも可愛かったんだなぁ…普通の人っぽくてちょっと安心してしまう。
すでにこの頃は強くなってたみたいだけど。
時々、キノは天然っぽいよね。
・第三話「同じ顔の国」
今回は逆にもうダメかと思ったらたくましく生き残ってたパターンか。
意志というか…あれだけのテクノロジーがあればね。
どちらの国も子を思う親の気持ちは同じで、顔は同じでもそれぞれ違う人間で見分けがつくという辺りは皮肉というか、その辺りの書き方が好きだったな。
・第四話「機械人形の話」
この話はタイトルは覚えてなかったけど真相が印象に残ってたな。
機械人形は~の彼女の考え方は夢があっていいけど、現実でも機械化すれば仕事から解放されてゆとりが生まれるかというとそうでもないよね…あの国ではどうだかもう分からないけど。
国内の状況を改善しようと思っていた女性が作った彼らはとても優しくて善良で、だからこそ彼らの役割がなにかあればと思わなくもないけれど、それはエゴかもしれない。
・第五話「差別を許さない国」
差別を咎める人たちの言葉が酷いっていう…なんかこうネット上で何かした人が叩かれている状況と似ているような。
清掃とか下水処理、汚物の処理をする職業が存在しないのかな。
国の人々のキノへの言動もすごかったけど、審査官の会話ではじめて分かる国内の汚さも衝撃的だった。
私にとっての蒼い空ってなにかな。探したい。
・第六話「終わってしまった話」
冒頭部分はあり得なさそうだけど初めはキノを連想してしまった。
最後までのんびり読める話だったな。
海賊が仲間思いというかイーニッドのことは可愛がってたみたいだし、イーニッドは海賊とは違うけど自分の生き方を見つけてるし。
・エピローグ「雲の中で・a」
なるほど、ほんのちょっとのことなのだけどプロローグの謎が解けてすっきり。
これだからお話って面白い。
ほんの少しのことで物語って変わってきてしまう。
それは現実でも物語でも同じだよね。
エピローグの内容を知ってプロローグを読むと印象が変わるし、エピローグの内容が違っていたらプロローグの感想もガラリと変わってしまうように。
・あとがきも哲学的でありながらなんだか和んでしまった。

さ行電撃文庫

Posted by tukitohondana

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