深き水の眠り

2023年6月2日

深き水の眠り (コバルト文庫)
毛利 志生子
集英社
売り上げランキング: 1,285,266

ある日、見知らぬ青年に「ずっと探していた」と言われた沙月。それ以来、沙月の周りで奇妙な出来事が起き始めて…
たまに再読したくなるシリーズ。
最初に読んだ読んだ切っ掛けは挿絵でした。ちょうどその頃、藤田さんの漫画にはまってまして。
吼のことは好きだけど、あらためて読むとこの出会いは恐いな;
近くで起きている事件が言葉で聴いただけでは、現実味がないあたりがリアルかも。
実際身近な人が被害にあったり、目にしないとそんなものだよね、きっと。危機感がない。
護衛としてだけじゃなく最初の説明役にも若竹丸はちょうどよかったかもな。警戒されにくい見た目と性格してるし。
玻瑠佳は優しいからころ心を殺している感じ。
はぐれもはぐれにとりつかれた人間も闇を抱えていて、どちらも被害者のように見える。
けれど、そうして正当化してしまうのは里子の万引きや薬に手を出した人間を容認することと似ている気がした。
吼の様子を読んでると、彼の主にならない沙月に苛立つこともある。
けど、あっさり受け入れていいことでもない重いことだと思うから、沙月が悩むのは仕方ないよね。
吼の獣のおうな行動や彩姫への想い。
子供っぽいところとかがツボ。
沙月には玻瑠佳のいい友だちになってほしい。
本心を知ると自分の中の醜い部分と重なってしまって、ユカリの気持ちが分かるだけにこの結末は苦しい。
闇って本当に日常に潜んでるよな。
好きだから嫌いっていうのもよく分かってしまう。
香流の過去は覚えていなかったのだけど…うん、これは被害者以外の何物でもないな。
今は加害者だけど。
自分の中にあったものが崩れて、考え抜いた先に玻瑠佳に礼を言い、吼を探すと決めた沙月が好きだなぁと思った。

inserted by FC2 system