まどろみの闇―深き水の眠り

2023年6月2日

まどろみの闇―深き水の眠り (コバルト文庫)
毛利 志生子
集英社
売り上げランキング: 1,459,746

水の精霊『水蛇』を使役する巫女『蛇巫』。
その能力を持つ高校生・沙月は、姿を消した水蛇の青年・吼を探していた。
夏休みに親のすすめで旅行に出かけた沙月は、旅先で男に絡まれたところを美鶴という女性に助けられ…

沙月がいい娘すぎて心配だ…一人旅(若竹丸はいるけどさ)なんだからもっと慎重に行動して欲しい。
読んでてはらはらする。
喧嘩して再会を前に相手が亡くなる…物語でも王道のこの展開は辛いだろうな。しかもあの亡くなり方では。
友人の胸の内を初めて聞いた上に目の前で死んでしまった沙月の方も辛いだろうけど、そんな二人が出会ったのは幸いかもしれない。
何らかの力で加生里さんの亡くなる様子を知ってしまった美鶴の言動は周囲には奇異に写っただろうから、彼女の母親が心配しているのは無理もないな。
この頃はまだ分からなかったけど、静河は沙月の体質(というか特殊な蛇巫の性質)に気づいていたから彼女を守れる水蛇が必要だと考えていたのかな。
吼と再会できた時の二人の様子があたたかくてなんだか微笑ましくすらあってほっとした。
周囲が見えなくなってるふたりに対する若竹丸の台詞にはちょっと笑ってしまった。
水蛇が絡んでくると色々人には話せないことがあって不便だよね。
玻瑠佳に警察サイドの協力者がいるのって大事なことだなとあらためて思ってしまった。
水蛇の蛇巫の契約は重くもあるけど、ちょっと羨ましくもあるな。
種族の違いとか感覚・常識の違いは大変そうだと思うけどね。
静河さんが吼を沙月の傍に置いておきたい理由はなるほど。
吼の語る予想が全てではない気がするけど、すごく納得できる。
それに実際、沙月と吼が契約するのは、現段階ではベストっぽいしね。
加生里が願ったのが許しというのが…切ない。
美鶴の今後のためにも伝えることができてよかったね。
本当は生きて再会できたら一番よかったけどさ。
日常で許しって特別なようで身近なことで、難しいことだけど未来を見て生きていくには大事なことだよなと思う。
他人も自分自身もありのままを受け入れる許しって時には必要なことだから。
ラストだけ見るとちょっと玻瑠佳と静河って病んでる?と思ってしまった;
いや…許しの話をしておいてなんだけど、佐々倉には同情の余地がなかったので、ひどい目にあったのには正直すっきりしてしまったけどね。

inserted by FC2 system