マリア―ブランデンブルクの真珠

現在のドイツ地方に300の国家が割拠していた、17世紀半ば。
その一つハルバーシュタット公国は、若き選帝侯率いるブランデンブルクの手に落ちようとしていた。
14歳の宰相の娘マリアは、令嬢の身代わりとして城に残り、父を処刑した選帝侯に体を奪われてしまう。
傷つきながらも愛と生きる道を探した少女の物語。

重めで暗い始まりだけど、ハッピーエンドだといいなぁ…と思いつつ読み進めました。
歴史、文化、戦、恋愛を綺麗にまとめつつ、少女小説としてときめけるというバランスが素敵です。
マリアに対するフリードリヒの戸惑いや行動が萌えます。
マリアの複雑な心境を想像すると切なさで胸が痛みますが、傷ついた彼女にフリードリヒが取る態度はいい。
女性関係派手だった人物が一人に熱中するという展開も大好きです。
ソニアと対面した後のフリードリヒのセリフがツボった。
マリアに恋情だけじゃなくて家族的な親愛の情みたいなのを向けているというのがいい。
敵対し互いの戦略を読み合う内に互いの理解者となり、仲良く顔を合わすことはなくとも認め合っていたクレプトとフリードリヒ。
こういう関係もいい。
ヨハンとの再会は第二の悲劇のはじまりでした。
ヨハンにとってはあの日からずっと苦しい日々が続いていたのでしょうけれど…
これはきつい…フリードリヒが遠くで生きているというのが唯一の救いでしょうか。
ヨハンの変化はショックでしたが、彼の視点で今まであったことを振り返ると納得はできる。
亡きクレプトがマリアを評価していたと分かると嬉しかった。
最期にクレプトがマリアに託した思いやクレプトの不器用さが愛おしいです。
ネフードが好きでした。
最後までクレプトへの想いと娘への愛情を持って行動した彼女の姿には胸を打たれた。
辛い時でも己の身の上だけでなく広く国の未来を考えることができるマリアと彼女のフリードリヒを支えたいという想いを読むと、ますます彼女とフリードリヒの関係が素晴らしいものに思えて応援したくなります。
マリアがヨハンによって殺されたのだと思い込んだフリードリヒの激情と彼がハーマンに語ったマリアへの想いを読んで涙が…
彼に大切なことを気づかせてくれたマリア。
二人の再会を願ってやみませんでした。
途中、これはこれであたたかくなれる結末か…と考えた瞬間もありましたが、やっぱりあの二人は一緒にいるのがしっくりきます。
マリアの生涯は長くはなくあまり穏やかなものではありませんでしたが、彼女は最終的には自分の生き方を己で決め自分の道を歩いた。
激動の中で築かれたひだまりのような二人の関係がとても切なく熱い物語でした。
マリアを失って多くのものに気づき、己をも見失ったフリードリヒが再びマリアの隣で己を取り戻すというのが好きです。
この二人の関係はとにかくツボでした。

は行

Posted by tukitohondana

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