軍師の門


若き日の小寺官兵衛は、軍師の理想像を求めて竹中半兵衛のもとを訪ねる。
しかし、半兵衛はそんな官兵衛に「もっと悪くなれ」という衝撃的な言葉をかけるのだった。
半兵衛との出会いを切欠として軍師とは何か模索し始める官兵衛の選ぶ道とは。
その後、官兵衛は病弱ゆえに天下を目指す夢を秀吉に託す半兵衛から軍師の座を引き継ぎ、信義を重んじ巧みな調略によって秀吉を天下人へと押し上げていく。

半兵衛と秀吉、半兵衛と官兵衛、秀吉と官兵衛の感情の微妙な食い違いや関係の変化が丁寧に描かれているように思えました。
策略は人間相手に行うもので、ただ感情を捨てて考えるものではないんですよね。
当たり前なのですが、改めて人心を掴むとはどういうことなのか、などと考えさせられました。

両兵衛が魅力的な一方で……出世して立場が上になればなるほど、魅力が減っていくのが秀吉。
力を得た人間の悲しさというか、段々と傲慢になったり悪い意味で疑り深くなっていくところがまた人間らしいと思いました。
これの半兵衛と官兵衛は、達観しているようでいて、欲望と葛藤の部分も結構描かれていたので人間味を感じました。
そのアンバランスさが魅力的です。
腹黒いようで凄く信義を重んじる。私的には、魅力的で理想的な軍師像でした。
全体的に読みやすいので、そんな両兵衛が気になった人にはおすすめです。

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Posted by tukitohondana

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