羊たちの沈黙

羊たちの沈黙〈上〉 (新潮文庫)
トマス ハリス
新潮社 (2012-01-28)
売り上げランキング: 30,452

連続女性誘拐殺人事件が発生し、被害者たちの皮が剥がれていたことから犯人は“バッファロウ・ビル”と呼ばれ始めた。
捜査要員の不足に悩むFBIは訓練生のクラリス・スターリングを捜査に参加させた。
彼女に精神異常犯罪者病院に拘禁されている医学博士ハンニバル・レクターから助言を得る役目を任せられるが…

レクター博士懐かしい。ドラマの若い時の話が最高なので新訳版で再読。

クラリスと初対面の時の会話からして好み。
クラリスの内面を探りつつ魅力的に紳士的に対応している所とか、クラリスが冷静に質問に返答していくところとかもわくわくする。
マスコミの胸糞悪さはこの頃から健在だったか…
まぁ、レクター博士がまだ若いFBI訓練生と会ってまともに会話の相手をしたというだけでも話題性があるというのは分かる。
私自身クラリスとレクター博士の関係性が興味深いからこのシリーズ好きなわけだしな。
ウィル・グレアムがどうしているかというのもドラマを観ていると興味を引かれる。そうなっていたかと思うと悲しいものがあるけど。

クロフォードの話をきくとレクター博士の知識の広さが余計分かるな。
しかも、ただ知識を持っているだけではなく全てが分かっているような振る舞いが自然だった。
レクター博士の知識の扱い方が巧みで魅了されるし、ジャックの記憶力もかなりすごいのでは。

蛾についての話も面白かった。涙で生きる種とか。
ロドゥンとピルチャーはよいコンビと言うか同僚だな。
彼らもそうだけど、ルームメイトのマップが存在感めちゃくちゃあるのに、なぜか記憶に残ってなかった;

ブルーム博士とか原作・映画・ドラマで設定違うところがちょこちょこあるよね。

知識だけにしてはやけに具体的にバッファロウ・ビルの人物像が出て来るなと思ってたら、レクター博士は知り合いだったんだったか。
ジャック側は疑ってたけど、表面上は悟らせないように語ってた辺りレクター博士の知性を感じる。

原作のチルトンも腹立つなぁ。
無礼にもほどがあるのでは?
特にクラリスへの性的な発言やジャックとの関係を侮辱する発言をしているところは苛立った。

羊たちの沈黙〈下〉 (新潮文庫)
トマス ハリス
新潮社 (2012-01-28)
売り上げランキング: 55,909

なるほど、マーティン上院議員のやり方が気に食わないからではなく、クラリスに騙されたのが残念だったからレクター博士は嘘をつきはじめたのか。
キャサリンが助からなかった方がクラリスにもジャックにもこたえるだろうからな…おまけに上院議員も悲しませたり怒らせたりできる。

頭はいいし力も強い。とんでもないモンスターだよな。レクター博士。
知性と理性があるのがより最悪。
逃走する博士の様子を読みながら再確認した。
その超人的なところも魅力なんだけど。
目的のためには手段を選ばないし、かといって忍耐がないわけじゃない。チャンスを待ち続けることができる。
そこがまた怖い。

ピルチャーめっちゃ親切だったな。
クラリスのことを恋愛対象として意識していることを差し引いてもいい人だった。

ドラマ版のベッラとジャックを観てると余計にベッラの死が辛いな。
ジャックがどれだけ彼女を愛していたのかも分かるし…新しい靴のセリフには泣いた。
ジェフいい人だ。

ステイシーの話す何気ないエピソードやフレドリカへのちょっと遠慮のないコメントに親しみを感じさせながらも、最後に見せた涙がなんかリアルだなと思った。
こっちも読んでて辛い。彼女はもうフレデリカと会うことはない。
フレデリカの父親の態度もそっけないようでいて、時間の経過と娘への思いが残っているのが伝わってきた。

フレデリカの持ち物から犯人持つ特技に気付いたクラリス冴えてるなぁ。
犯人の最後があっけなかったのがちょっと惜しい気もする。
願望が歪んでいて犯行動機が異常だったことを除けば、知能犯でもなかったし仕方がないのか。
なにはともあれキャサリンが無事だったのはよかった。

礼儀を知るものにはそれなりの対応を…ってことでいいのかな、バーニー宛の礼は。
レクター博士を追っている人たちからすればすごい皮肉だけど。
彼が捕まらずにクラリスに手紙を書いたところで終わるのが、その後について想像力を掻き立てられてよい。

レッドドラゴンでウィルも出てくるんだったか。
クラリス出てこないから興味持てなかったんだけど、気になってきた。

は行新潮文庫

Posted by tukitohondana

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