首の姫と首なし騎士

2023年6月2日

睦月 けい
角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日:2011-08-31

フォルモント国建国の英雄の孫シャーロットは、本を愛するインドア派の末姫。
お見合いに失敗してばかりの彼女は、ある日父王からアルベルト・ホースマンと狩りに行けと命じられる。
アルベルトは建国時の活躍から“首なし騎士”と呼ばれ恐れられていた。
シャーロットも彼を恐れていたが、狩りの際の出来事を切っ掛けにアルベルトは彼女を主候補に選び付きまといはじめて…
誰にも仕えない危険な騎士を護衛にしてお姫様が狩りに行くか。
この設定がまずわくわくするな。
シャーロットが「声」でパトリックに命じるシーンはかっこよかった。
人の上に立つ者は、仕えるにふさわしい存在を時には演じるものかもしれない。
シャーロットとアルベルトの会話いいな。
アルベルトの性格というか言動も好み。
彼がシャーロットに付きまといだす展開はいろいろな意味で萌えた。
謎もあるしこの糖度の低さがいい。(おまけに兄が妹に甘くて、もう一人の兄が妹を見下しているのもいい)
アルベルトに対する周囲の反応がまたたまらない。
噂に踊らされていると思う反面、恐れられていたり嫌われているキャラというのは好きなので。
ああ、でも噂だけじゃなくやばい人っぽいね;
これはこれで変人狂人ぽくていいけど。
剣を向ける相手は基本的に敵なので、周囲に誤解もあるにはあるな。
首なし騎士を恐れながらも性格からか思ったことを口にしてしまうシャーロット。
アルベルトに可愛い孫娘の話ばかりしていたジョセフがなんか和むな。想像すると。
クラウンに関する真相がすごく気になるお話でした。
アルベルトは全て知ってるみたいだけど、思わせぶりなことしか言わないし。
政略結婚話が出てきた後のアルベルトの態度にぞくっとして萌えた!
すでに王の資質は見出しているのかな?
だからこそシャーロットの諦めに似た考えに怒ってる?
“クラウンと共に王の隣に並べ”という言葉がどうしてもひっかかる。
ジョセフは仕えろとは言ってないんだよね。
だからシャーロットのアルベルトが王という説はあながち間違いじゃない気がする。
クローヴィスの本心については意外ではなかったかな。
コンプレックスの塊だからこそ他者を攻撃するってあるからな。
この一家の歪みの真相があれとは。
思っていた以上にサスペンスモノだったな。
びっくり。(二時間サスペンスは私も好きです)
ラストのやり取りがまさにサスペンスの終わり方っぽかったし。
エルマー家二男の女癖の悪さと、彼とシャーロットの結婚に反対していたレイフォードの本音には和んだ。
なるほど、アルベルトは自覚なしか。
これは彼が自身の想いに気づくのが楽しみだな。
ロッティは少しネガティブだけど、優しく責任感もあるので民思いのいい主になれる気がします。
人手が足りなくなった王家がどうなるのか。
シャーロットとアルベルトの関係の行方は。
次巻を読むのが楽しみです。

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