三国志〈2の巻〉参旗の星

繁栄を極めたかつての都は焦土と化し、長安に遷都した董卓の暴虐は一層激しさを増していく。
主の横暴をよそに、呂布は病に伏せる妻に心を痛めていた。
野望を目論む王允はそこを狙い、董卓の信頼厚い呂布と妻に姦計をめぐらすのだった。
一方、曹操はエン州を制し、百万の青洲黄巾軍に僅か三万の兵で挑む。
父・孫堅の意志を胸に秘め、覇業を目指す孫策。
関羽、張飛ともに予州で機を伺う劉備。
秋の風が波瀾を起こす…北方“三国志”第二巻。
呂布が日常や戦場での冷徹ともいえる言動に対して、瑤が関わる事では優しさを見せるのがいい。
まっすぐであるがゆえに王允の言う事を正直に受け取ってしまう。
董卓が呂布の事を理解していないのは確かなので、王允が何もしなくても、いずれは仲違いしていたんじゃないかとは思う。
呂布の感覚は少々常人とはずれているけれど、他の者のやっている事を冷静に見る目も頭もある。
ただ、それが理解できないため、馬鹿に見えなくもない。
彼の場合はそこも魅力。
貂蝉の代わりが瑤だったんだよね?と董卓裏切りの前になって気付いた。
この呂布の場合は、王允が呂布が元から惚れていた相手(瑤)に取り入って父親的な存在になって自然だったと思う。
瑤の死に対する呂布の態度は静かなものだったが、それだけに読んでいて寂しく虚しさがただようものだった。
呂布本人はそう感じてるわけではなかったようだったけども。
荀が行った事、曹操と張毅のやり取りなど、青洲黄巾軍との講和がまとまるシーンは胸が熱くなった。
厳しく大望を抱きながらも民の生活を考えることができる。
こういうリーダーはいい。
おお、趙雲が戻ってきた!
前より落ち着いてて、これはこれでいい。
彼の活躍が楽しみ。
孫策も頼もしい人物に成長したなぁ。
若くて気さくで今まで登場したリーダーたちとはまた違ったカリスマ性がある。
世の中の人間を二つに分けてみている点では呂布と曹操は似ている。
近しい存在を持ちながらでもどこか孤独に見える所も。
赤兎が関わってくると呂布は穏やかで正直なだけの男にも感じる。
胡郎や成玄固との会話も好きだった。
やはりこの呂布はとても惹かれる。
亡くなるシーン読むのは辛いだろうなぁ…

北方謙三

Posted by tukitohondana

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