三国志〈7の巻〉諸王の星

北方 謙三
角川春樹事務所
発売日:1997-10

物語はいよいよ赤壁の戦いへ!
諸葛亮と周瑜、二人の智将が覇者・曹操に挑む。

孔明の一般人とは違う雰囲気が出ていていい、と思う一方でこの孔明は内面は人間臭い所も多いので、彼視点も読みたくなってくる。
孔明と周瑜の出会い時の意味深な会話がいい。
ついに孫権が曹操と戦うと決めたシーンは燃えた。
やっと動き出したというすっきり感と、彼の内にも熱いものがあったんだと嬉しくなった。
その後も孔明と周瑜のやり取りがいい。
あの周瑜の考えすら全て読んでいる事でより孔明の凄さが伝わってくる。
直接会うわけではないが、周瑜と曹操の戦場での駆け引きも面白い。
今までは陸戦で水上戦がメインなのは初めてなので新鮮。
おお、陳礼が来るとは!
孔明と陳礼の会話好きだったから嬉しいけど、不安もあるな…
周瑜と陸遜、陳礼への言葉を読んでいると、こんな上司か先輩が欲しいなと思う。
凡人を理解できる非凡…劉備が孔明に言った言葉だけど、この孔明はそれができるからこそ苦しむイメージ。
孤独ではないかもしれないけれど、結局非凡ゆえの苦しみはつきまとうものなのかも。
それは凡人でもそうだけど。
作戦が決まってからの描写が長かった分、ハラハラしつつ、待った火の手が上がった時は少し興奮した。
ちらちら出てくる甘寧と凌統の因縁が気がかり。
混乱の中にあっても、落ち着いた許チョがいるとすごく安心感があるな。
典韋も好きだったけど、許チョと曹操主従もいい。
二人の会話がいいなぁ。
呼び方の話でもじわじわきてたので、別れの所で泣きそうになった。
曹操がここまで身を任せられる人ってそういないし、許チョは曹操の心も支えて守っていたんだなって思うと…
この作品の曹操は非凡ゆえの孤独を抱えて生きているのか。
“生きるとはただ悲しいだけ”という詩に対する思いを読んで再度そう思った。
だからいくら力をつけて、時に傲慢とも思える言動を取っていても、放っておけないような引力を感じるんだな。
近寄りがたい反面そんな時がある。
生と死、宗教については色々考えることがあるから、登場人物の様々な意見を読んでいるのは楽しい。
石岐の考えは頷きたくなった。
前々からそんな時があった。
それだけに彼の別れは自分でも意外なほど寂しく、一方ですんなり受け入れることができた。
関羽と黄忠の会話、気持よくて和む。
この黄忠もいいな。
馬超と少女だと…いや、歳の差カプ、主従、師弟、コンビ問わず好きなので思わず反応してしまいました。
袁りんの役回りが気になります。
馬超…普段の言動は生まれ育ちを感じさせないのに、食べ方は上品っていうのがいいな。
りんを預けると決めた時の会話と約束にもときめいた。
馬超かっこいい。
凌統と周瑜の会話和んだけど、凌統の不安があたっているだけに辛いな。
ついに赤兎の子が来たか。
今後の関羽との活躍に期待したい。
司馬懿…暗いという表現はされてたけど、今度は禍々しい気配って、吹き出したじゃないか。
登場してすぐにこの存在感。
彼も曹丕と共に今後の活躍に期待だな。
孔明と周瑜の最後の会話は気持ちの良いものでよかった。
短い間だったけど、いい友ともライバルとも言えるような関係だったなぁ。
関羽と龐統も面白い組み合わせだな。
興味深い師弟になりそう。

北方謙三

Posted by tukitohondana

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