唯一の神の御名―龍の黙示録

十字架にかけられたキリストの血を掠め取っていった悪霊たちを追い倭の国に辿り着いた吸血鬼の「彼」。
彼は主イエスの面影を聖徳太子に見て付き従うようになった。
帝の後継を巡り朝廷内の政争が激化していく中で、彼は朝廷に忍び寄る邪神・暗螺万愉と対峙する。
二千年の時をさまよう龍の過去を描いたシリーズ第三弾。
透子の活躍を読むのが好きな私としては、物足りない。
でも、あの龍の過去は本編でもちょくちょく出てくる話題で、以前から気になってました。
龍とリリトの過去の因縁、龍は現在とどれほど違う思考をする存在だったのか、どのような事を経験してどのような人物と出会ってきたのか。
それらの答えの一部がこの物語で読めて嬉しいです。
あれだけ変わったと書かれていたので、龍の性格の変化には驚きはしませんでした。
思っていたより龍の出番がなくて気づいたのだけど、もしかしなくてもこの物語は龍というより彼が血をわけてもいいと思った人物とその周辺の方がメインの話なのかな?
ライラの龍がショタコンという発言には吹いた。
龍の過去を垣間見た上で透子と龍の会話を読んでいると龍の変化に改めてほっとする。
ただ、予想以上に昔から情があり情熱的な面もあったんだなと少し驚いた。
とはいっても、それらの殆どはキリストと関わりがある事なんだけど。(相手がキリストに似ていると龍が感じていたり、キリストの性格の影響を龍が受けているなど)
過去編ではあるけれど、これらの話を龍がライルや透子に話したのは意味あることだし、ライルが透子に語った願いも今後の展開と関わる。
早く現代の話を読みたいせいもあって過去の話をそんなには楽しめなかったが読んでよかった。
龍が惹かれた人物、ローマ皇帝ハドリアヌスと厩戸皇子(聖徳太子)は魅力的な人物だったしね。

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