東日流妖異変―竜の黙示録

龍緋比古のもとに、青森の寒村に住む女子高生から手紙が届いた。
手紙を読んだ龍は出かけてくるという手紙だけを残して姿を消してしまう。
彼を追う透子は不思議な存在に導かれ荒覇吐の剣と出会い…
次々と村で起こる異様な出来事、妖しい儀式と村で奉られる“御還り様”とは何者なのか?
龍の黙示録シリーズ第2弾。
うおお、ライラが可愛い!
前巻にも増して透子に素で接しているライラが可愛くて仕方ありません。
主の再臨が世紀末になかった事を憂う龍も切ないですが可愛いです。
閉鎖的な村で奉られる神“御還り様”に関する相談の手紙を受け取った龍が手紙の送り主に会いに行き、透子とライラがそれを追いかけるという物語。
この話で透子のヒーローっぷりが発揮され始めます。(荒覇吐の剣という武器も出てくるし)
今まで何よりもイエスが大事だった龍が、透子とライラの待つ家を自分が帰る場所として意識している。
その変化にあたたかい気持ちになりました。
一巻の透子と翠、今回の小矢と美佐子の魔の影響で歪んでしまった親愛・友愛の書かれ方があやしくも生々しい。
幻想的で狂気的なのに何かリアルだなと思ってしまいます。
村の多くの人が御還り様を狂信してる所とかも。
律も言ってたけど人間の普通っていったいなんだろうと思ってしまいました。
人間であるはずの村の人々よりも龍や魔に属するライル、特殊な武器を手に入れた透子の方がまともに見えますし;
人の本心とか本性とかは知らずにすむならそれでいいという小矢の言葉はもっともだと思います。
律の言うことももわからなくはないのですが、人って己の醜い面を晒すのも隠すのも含めてその人の人格や性格かなと。
オットーと透子のコンビも好きだったのですが、彼の血縁者に対する愛情は泣かせてくれました。
今回の話は彼と小矢の物語でもあると思います。
このシリーズは最後の平穏な時間の部分が好き。
ああ、帰って来たんだなぁ…と感じるので。

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