ぼくの・稲荷山戦記

2023年6月2日

たつみや 章
講談社
発売日:1992-07-24

マモルの家は先祖代々裏山の稲荷山神社の巫女を勤めている。
そんな彼の家に長髪に着流しを来た奇妙な下宿人がやってきた。
アブラアゲが大好きな美青年・守山さんには不思議な魅力があってマモルはそれにひかれていったが、彼の正体は…
マモルは守山さんと共にレジャーランド開発のために破壊されようとしている山と古墳を守るべく行動を開始する。
神々やその使いが登場し、自然の大切さを語りかけてくるファンタジー。
お稲荷様のお使いが序盤から登場したり、主人公のマモルがいきなりお稲荷様と会うことになるなど、物語開始直後が急展開。
おかげですぐ物語に引き込まれました。
マモルは特別な才があるけど、平凡で素直な思考をしてて感情移入しやすい。
お使いの初音さんはなんだか可愛くてすぐ好きになりました。
以前読んだイサナのシリーズとは時代が違うけれど、人と神々が自然に隣り合って共存しているような書かれ方をしているのが印象的。
山を守りたいという初音とマモルの気持ちに同調していたので前半ではその目標を達成できそうにないのが不安でした。
シリアスでない時の初音とマモル、神様、お使いキツネたちのやり取りが和んでいい。
笑いながら癒されます。
笑って切なくなってわくわくして素敵な物語。
読み易く親しみ易い文章と内容ですが、深い話だと思いますし。
初音が命をかけて意志を貫き通したところには感動しました。
秀二さんもいいキャラだよね。
場を和ませるゆとりがあって柔軟な思考もあって。
救われた気持ちになった部分もあるけど、完全なご都合主義やハッピーエンドというわけではなくて、そこが自然でいい。
未来への夢や希望を残す、ほろ苦くも勇気付けられるような結末でした。

た行

Posted by tukitohondana

inserted by FC2 system