水の伝説

2023年6月2日

たつみや 章
講談社
発売日:1995-12-13

東京の学校に馴染めなかった6年生の光太郎は、白水村に山村留学した。
そこは川の上流のそのまたずっと奥にある山村でお医者様もいない。
ヤマメが沢山釣れる川があって、寄宿先の家の子龍雄という友達もできて光太郎は楽しい時間を過ごしていた。
ところがある日龍雄の家の山が崩れ日常も崩れ始める。
翌日に水かさの増した川でカッパを助けた夜から光太郎は原因不明の高熱に襲われる。
そんな光太郎は夢の中で不思議なメッセージを受け取るが…
光太郎の心情の描写がリアルで感情移入し易かった。
その分、光太郎が辛い時はこっちまで胸が苦しくなったけど。
私もどちらかというとネガティブな方だしな…
タツオのおばあちゃんがいい。なまりのあたたかさも魅力だし、独特な考え方に惹きつけられる。
光太郎が熱を出した時に言う台詞にも泣きそうになった。
偶然であったはずのカッパとの出会いから不思議な世界や神様などと関わることになるという王道的展開も好み。
主人公の心の成長の描かれ方も好き。
光太郎の純粋で素直な心を知ると、カッパが光太郎を選んでしまったのも仕方ないと感じる。
彼なら神様たちを救ってくれると思ってしまったんだろう。
環境問題については杉を植えることによって起こりうる事態が衝撃だった。
やっぱりたつみや章さんの書く神様たちが好きだ。
神々しいところもあるけれど親しみ易さもあって素敵。
タツオが光太郎に本心を話して友人を助けようとする所やラストの光太郎と両親のやり取りには涙が出そうになった。
光太郎とタツオの二人が今のままの素直な心と優しさを失わなければ、きっと二人の夢も叶うと信じています。

た行

Posted by tukitohondana

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