再生の環―根の国の物語〈4〉

再生の環―根の国の物語〈4〉 (角川ビーンズ文庫)
篠田 真由美
角川書店
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ついに秋鹿たちの最後の戦いが始まる。
イツノミヤの破壊を目前とした秋鹿たちの前に立ちはだかったのは秋鹿本人の肉体だった。
根の国の気に反応して暴走する体を止めようとする秋鹿たちだが…
オオヒルメとの最終決戦の末に、それぞれが選んだ道とは?

気の汲み上げ方でショックを受けていたので、主人公の体があの気の中に浸かるというのはすごく不安になった。
この物語、主人公を芳人にした方が全体的に感情移入しやすかった気がする。
終章読んで余計にそう思った。
大筋のメインは秋鹿だったって思うんだけど。

芳人とヒミコのような関係が好き。
この繋がりによってヒミコは目的を諦めることもなく、芳人も友達であることを理由に何かを要求したりしない。
救いはないけど、ほんの少しあたたかい関係とか思い出って儚くていい。

サグメもオオヒルメも最後まで若彦への想いは捨てられなかったか。
かつてオオヒルメが芯の樹に感じた恐怖は人が災害や死、老いなどの世の理と直面した人間が感じるものと似ていると思う。
恐れは時に進歩につながる。それでも理を曲げてはいけないし、それはできないという真理があの追放なのかな。
オオヒルメは人間らしい。
咲耶姫のように理をそのまま受け入れられたらいいんだろうけどね。

トコヨノオモイカネの正体はもう少し早く明かされてもよかったのでは…うーん、正体分かってから退場までが早すぎてなんとも。
金子先輩の最期は好みだったけど!

エンディングは爽やかだったのに、あとがきがさらりと重い気が…
まぁ、でも物語と接するスタンスは私もまさにこんな感じです。

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