龍の黙示録

篠田 真由美
祥伝社
発売日:2001-03

職を失い新たな仕事を探していた柚ノ木透子は、秘書の仕事を紹介される。
雇用の主は、龍緋比古…青年著述家だった。
知人から彼が吸血鬼ではないかという話を聞き不気味に感じるが…
その頃、東京では吸血都市伝説が蔓延し、行方不明者が続出していた。
現代吸血鬼ものというのが理由で、長い間探していた作品。
二巻を読む頃には主人公の龍よりもヒロインの透子目当てで読んでました。
この作品は透子の方がヒーローっぽい気もします;
クールに見えて実は熱い魂の持ち主。
強い意思と正直に生きるあの生き様は、苦手に感じる部分も含めて憧れます。
最強だけど弱い部分もある龍と人間だけど無茶をしてでも敵と戦い続ける男前な透子。
この二人の関係が好き。
この巻は出会いの巻なのでまだ距離はありますけどね。
久しぶりに読んでみて、龍の態度の失礼さと透子の勘違いというかいきなりのすれ違いっぷりに吹きだしました。
誤解なんだけど龍のあの言動は相手を怒らせても仕方ない気がする。
その後もすれ違い続ける二人。
事実でもあるんだけど、物事をはっきり説明できないかしない龍と慣れない事態に戸惑いつつも持ち前の頑固さを失わない透子じゃかみ合わないのも仕方ないか…
ライルは透子に心を許してからがすっごく可愛い!
あの最初の透子への態度についても龍を慕っているがゆえの警戒だと見れば可愛いし。
龍にとって最も大切なのはあの方。
だけど、今まで積極的に動こうとしなかった彼を動かしたのが透子だというのが萌えます。
主と龍の関係から透子と翠の関係まで、神話や歴史を元ネタとしつつ様々な愛憎の形が書かれた物語かなと思います。
簡単には説明し辛い執着や愛憎の描かれ方が深く、ドロドロしつつも綺麗で好きです。
龍はあのシリアスな時とそうでない時の差が生きてるって感じでいい。
一巻から凄い力を持った存在だと分かるシーンが多いにも関わらず、よくピンチになるのも彼の性格がなんか妙に人間臭いからかなと。
龍も透子も強さと弱さどちらも魅力的に書かれていて、そこも素敵なシリーズだと想います。

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