プリズム


浮遊制御体によって管理されあらゆる情報は制御体から提供されている都市で、制御体に認識されない少年がいる。この設定だけでともても面白くて心惹かれる。
知識は制御体から与えられるから認識されなければ勉強もできないし、創作物すら制御体から配信されているので認識されないと娯楽もない。
異常な存在なのに両親がここまで育ててただけでも凄い。生まれた時からの常識を覆す存在だし、作中に書かれてないとこでも大変だったと思う。
でも、制御体が認識できない少年を探し始めたことで事態が変わっていく。

TR4989Dと刑事の会話、たまらん。こういうの好き。
人と機械知性体、しかもそれぞれの集団で異質とされるもの同士の会話。

章が変わっていきなり舞台がファンタジックになったので驚いた。
最初に出てきたのが中間界リンボウで、堕天使がエスクリトール(緑の将魔)、少年が御子であり賽還であり学校の先生か。
朱夏がTR4989Dをうみ直した女であり少女と。
ルービィが下界の神でとりあえず敵は青の将魔ヴォズリーフ。
登場人物が繋がるまで混乱してしまった。

色撫草、不思議で綺麗な花だな。
見てみたい。

操色師という職業が面白かったのでKの話もうちょっと読みたかったな。

刑事の夫婦の話がなんかリアルだった。人間関係の微妙な傷とか綻びみたいな違和感とか日常のさりげない会話や気遣いの難しさだとかが。

各短編として見ると面白いけど全体としては抽象的で分かりづらかった。
私が読んできた神林長平さんの小説の中では異質かも。

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