敵は海賊・海賊版
火星の赤い砂漠の町サベイジのバー＜軍神＞でヨウ冥は、フィラール星の女官長シャルファフィンと名乗る女性の訪問を受けた。
彼女は行方不明になった王女の捜索を依頼にきたという。
王女捜索に乗り出すヨウ冥を宇宙海賊課の刑事ラテルとアプロが追う。
海賊と彼らを撃退するため多くの権限を与えられた海賊課刑事コンビ（＋機械知性を有する宇宙フリゲート艦ラジェンドラ）が繰り広げるスペースオペラ開幕。
カルマとシャルファフィンの出会いとやり取りも面白かったけど、ヨウ冥が魅力的でいい。
最初の舞台であるサベイジの町の様子やカルマがやっているバーの雰囲気も好みだった。
シャルファフィンが命をかけて探す王女の行方とその人物への興味もわく。
プラチナの髪飾りに関する三人のやり取りも好きだな。
刑事のラテルとアプロのコンビも可愛いな。
ヨウ冥が避けようとするぐらいだからすごい所もあるんだろうけど。
ラジェンドラの機械知性の人間臭さがいいな。
好き勝手言い合ってたラテルとアプロが、いざ別行動を取るようになると互いを気にしていて微笑ましかった。
男のこういう友情っていいな。
行方不明の王女、王女を探す女官長、伝説の海賊、海賊課刑事コンビ、２つの世界、玉座を狙う陰謀、生と死を司る２つの勢力の争い。
宇宙の存続をかけた戦い。
異なる価値観を持つ者たちの協力や対立も毎度ながら面白い。
２つの世界が交差して状況が複雑化していくのもわくわくした。
ストーリーはもちろん、存在感のある個性的な登場人物たちが物語の世界に引きこんでくれます。
シャルが撃たれたのは彼女が好きだっただけにショックでした。
ヨウ冥が人間らしい感情を垣間見せてくれたり、シャルはシャルで自分の生き方を貫いたと考えればあれはあれでよかったかなと思うのですが。
その後の展開はちょっとびっくりしつつも嬉しかった。
彼女を撃った後のヨウ冥の葛藤もいい。
クラーラとヨウ冥の会話も好きです。クラーラのような存在は設定として面白い。
たまに真面目だけど何をしてても遊んでいるように見えるアプロが和む。
なにやら種族の性とやらは危険そうですが。
ラテルとアプロの会話を読んでいると、海賊課が公認の海賊と言われていたのも無理ないなと思った；
まさに"悪は悪の力をもって対抗する”だな。
争っていた二つの世界のラテルとアプロが合流して協力するというのは燃えた。
アプロが二人（二匹？）いると大変だろうな本当に；
読んでいる側としては楽しいけど。
メイシアやシャルとの別れは少し切なかった。
ヨウ冥とシャルのやり取りや距離感好きだったし、ラテルのメイシアに対する親馬鹿っぷりはかわゆかったしな。
でも、シャルに関してはランサス・フィラールの今後に必要な人物だからあれでよかったのかも。
女王は魅力的な人物だったし、王女もこれからが楽しみな少女だったので余計にそう思う。
本編は過去の話なわけで、ヨウ冥はもっと強く恐い存在になっているんだろうか。
そう思うと続きが気になるな。海賊課刑事コンビの活躍も気になるし。
そしてラジェンドラが大好きなのでぜひシリーズ全部読みたいです。