三国志〈3の巻〉玄戈の星【再読】

三国志〈3の巻〉玄戈の星 (ハルキ文庫―時代小説文庫)
北方 謙三
角川春樹事務所
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乱世にて異彩を放つ豪傑・呂布は、徐州を制し急速に力を付けていった。
袁術の十五万の侵攻に対しても、五万という少ない軍勢で退け、群雄たちは彼を怖れた。
屈辱を胸に秘めながらも曹操の客将となることを選んだ劉備、河北四州統一を目指す袁紹、曹操らは大群をもって宿敵呂布に挑まんとしていた。
北方三国志第三巻。

弓のところの話が好きだ。
呂布の出した条件を劉備がすぐに承諾して、呂布がこいつと思うシーン。

曹操は女性の扱いさえこうでなければ他は好人物なんだけどな。
董卓よりは大分いいが…
悪口を言う人物や話をやたら聞きたがる人物を遠ざけたのはいいと立場上思う。
曹操に限らず、皆嫌な部分を持ってるんだよなこの小説の人物。
めっちゃ魅力的な所があるからこそ、そこも際立つ。

あまりいい印象のない袁紹も戦で流す血を少なくしたいという考えのように良いところもあるし。
それが時代に沿っているかどうかと、流してもいいと考えている血があるのは別として。

呂布と李姫と仔犬の話はなんか和む。夢小説っぽさがあるよなと思う。
呂布については劉備の妻子への対応にも毎度感心した。
組むとしたら劉備だという呂布。
この頃には劉備のことを皆が気にしていて総受けだよなとか考えてしまった。
組んでくれないだろうという呂布、下について欲しいと思うが無理だろうという曹操、この三人の関係がすごく好き。

終わりの時が近づいてきている頃の呂布がこれまたかっこいいんだよな。
守らねばならぬ誇り、敗れざること。呂布が言うからかっこいい。
赤兎が彼の中でどれだけ大きな存在なのかが伝わってくる話はいくつもあって、曹操の命よりも成玄固に赤兎の傷を治療させる方を選んだのもぐっとくる。
呂布が亡くなった時の赤兎の行動の描かれ方には涙が…

孫策と周瑜が二喬をさらう藩士は、この二人すごいのにどうしようもないなという思いと、二喬がはっきりものを言う姿がいいなという印象を受けた。
呂布軍の最期の話とのギャップが凄い。

北方謙三

Posted by tukitohondana

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