三国志 十二の巻 霹靂の星


曹丕や司馬懿みたいなタイプがあんなり素直な気持ちのやり取りをする日が来ると思わなかった。
戦が上手くないことを自覚する曹丕と曹丕を好きだと自覚した司馬懿。この後の魏の変化に注目したい。(もう最終巻だけど)

それにしてもこの司馬懿、ドMだなぁ。普段の冷徹な感じとギャップが良い。
曹丕は政に特化したタイプでそこは孫権と似てる。問題は戦に出ようとすること。
戦が下手だから戦場に出ない方がいいと進言する司馬懿とそれでも原野を駆け戦で勝利することを夢見る曹丕。この二人好きだったのでもっと見てたかった。

孔明と孟獲の戦いはどこかコミカルに感じてしまった。
孔明が初戦から孟獲を認め殺すつもりがなかったからと、同じ相手と七連戦するのは珍しかったので。
軍師のイメージが強い孔明が不世出の民政官と評されてるのが印象深い。向き不向きに限らず心優しい彼には平和な世で政をして欲しかったとは思う。

もう天下統一しようと思わなければ三国とも平和になったんじゃない?って考えるのは素人だからかな。
原野を駆けていた豪傑たちがこの世を去り、民政が得意な英傑が残ってたわけだし不毛じゃない?
そんな理屈が通用するなら、とっくにこの世から戦争なんて無くなってるか…

趙雲は老兵となっても変わらず清々しい気持ちのいい好漢だった。孔明と対等に話せる彼がまだ生きていてくれたのは読者としても有難い。
趙雲は本当に最期まで清々しい人だった。ラストの孔明との会話が好き。
姜維は有能な好青年という感じ。出番少なくて残念だな。

そしてついに馬謖が…あれだけ孔明に評価され可愛がられていた馬謖が命令に背いて山頂へ。
馬謖を過大評価しすぎ運用に失敗した孔明、自分に与えられた役割を理解出来ず全うできなかった馬謖。
双方の後悔は読んでいて辛いものだった。
馬謖が己の罪を理解し蜀のために打首になることを受け入れたのは潔くて凄い。趙雲の言うようにもっと経験を積めていれば…と思わずにはいられなかった。

北方三国志では曹操、周瑜、劉備が患っていたのは癌のような病であり闘病の様子も描かれているので華佗や爰京視点も面白かった。それぞれの戦いがある。

馬超はその後穏やかに暮らせていたようで何より。若い頃悲惨な目にあった人なので余計にそう思う。

inserted by FC2 system