還らざる魂の蜃気楼(ミラージュ)―ザ・サード


砂漠の街エンポリウムで火乃香のもとをザ・サードのフィラ・マリークが訪れる。
何故かフィラ・マリークの命令を無視する機械歩兵たちを退けた後、彼女は火乃香にある人物の奪還を依頼してきた。
破棄されたザ・サードの施設へ向かう火乃香たちを待ち受ける敵とは?

今回の話は見所が一杯あって、大好きです。
まずは浄眼機関連で…と言いたいところなのですが、やはり微妙な関係にあった“蒼い殺戮者”(ブルーブレイカー)との共闘するという展開がたまりませんでした!
蒼い殺戮者は、火乃香にとっては大切な人物の仇になります。
両者の関係は互いの種族の違いや思考の違いもあって非常に微妙な関係にあったわけなのですが、この話で進展。
ここから蒼い殺戮者の魅力も出てくるんですよねぇ…いや、初期から気になる存在だったんですけども。

ボギーとパイフウの活躍も見逃せません。
本来戦車の天敵であるはずの対戦車攻撃ヘリ相手に戦うボギーには惚れざるをえませんね。
戦闘終了後の意味不明の独白も、彼の人間味ある人格が現れていて好きです。
パイフウはイクスが何者なのか疑問に思いつつ火乃香との関係に嫉妬しているわけですが、今回で少しは信頼に近い感情が芽生えた感じでしょうか。

浄眼機を愛するザ・サードの女性ローナ・ファウナが登場することで、彼の性格や異質さを知ることが出来る話でもありました。
彼の火乃香に対する感情が何なのかも確定してきた感じですね。
何度読んでも、ローナと火乃香の会話は涙なしには読めません。
自分なりの哲学を持って懸命に生きる少女の思いというか、なんかこう切なくなってしまうというか…上手く言い表せないのですが、心動かされるんですよ。
≪再読≫
囚われた浄眼機と彼への想いから狂行に出たローナ・ファウナ。
異端といえるザ・サードの存在は興味深く、また浄眼機好きとしては彼をより知るという意味でも面白く好きな話。
敵同士とも言える火乃香と“蒼い殺戮者”の共闘やボギーVS“戦車殺し”と戦闘シーンも熱く、アニメでも燃えた記憶がある。
火乃香と直接会ったことによるフィラ・マリークの戸惑い、パイフウとイクスの中に微かに芽生えつつある同士意識(火乃香に対しての感情による)の描かれ方もどこか微笑ましくていいです。
“蒼い殺戮者”渋くていいなぁ。
最初登場した時は戦闘狂って感じだったけど、火乃香と出会ってからなんかこう落ち着いた気がする。
火乃香は辛い思いをしてきたけど、だからこそ他の皆もそれぞれ辛くて何かを抱えて生きていることを知ってる。
そんな彼女の優しさと生きようという思いの強さにはたまらなく惹かれます。
とにかく火乃香の言葉は励まされ元気付けられる。
そして浄眼機はますます好きになりました。
ローナ・ファウナに対して彼が取った言動であらためて、彼の変わり者っぷりが窺えるし、火乃香に対する態度がたまらない。
物語と世界観的に浄眼機が火乃香がくっつくことはないだろうとは思うのですが、ローナ・ファウナが願ったようにせめて想いだけでもちゃんと伝わるといいなと願ってやみません。
今のままの関係も素敵ですけどね。
お互いピンチになると気に掛けて行動してるし。

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