ハンニバル

ハンニバル〈上〉 (新潮文庫)ハンニバル〈下〉 (新潮文庫)
前作で繰り広げられた逃亡劇から7年の月日が経った頃、FBI特別捜査官となったクラリスは、窮地に立たされていた。
そんな彼女に、とある人物から手紙が届く。
手紙には彼女を理解し励ますかのような内容が記されていた。
そして追伸には「いまも羊たちの悲鳴が聞こえるかどうか、それを教えたまえ」、と。
しかし、同時にレクター博士本人にも危機は迫っていたのだった。
 
前作とは違いハンニバル・レクター自身の過去や内面が深く描かれていてとても興味深い作品。
彼の広く深い知識と洗練された好み、独特でいてどこか人を惹きつけてやまない言動。
映画でも凄い存在感を持つ彼の魅力がよく出ていて素敵でした。
「ハンニバル」では、私の最大の興味の対象だったレクター博士とクラリスの距離と互いへの感情も今回は表立って大きな動きを見せます。
遠く離れていてもどこか、クラリスを支配し続ける博士の存在、彼の彼女へ対する執着心とクラリスが持つコンプレックス。
普通の恋愛モノでは見れない、独特な感情と二人の距離感が好ましい。
後半に入ると結末が気になり一気に読んでしまいました。
映画の方を観た事のある人でも、映画とは違う、二人の関係と結末を楽しめると思います。
静から動、そして静へ物語の展開は大げさに言えば芸術的ですらあるように感じらました。

再読してみると、映画「ハンニバル・ライジング」を見た時には忘れていたエピソードが沢山あり、自分の記憶力のなさに愕然としました。
重要な人物なのに…レクター博士の妹のことすっかり忘れていました;
以前ハンニバルを読んだ時はレクター博士の妹のイメージがつかめなかったのが理由のようです。

は行

Posted by tukitohondana

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