超少年―Super Petit‐Prince

長野 まゆみ
河出書房新社
発売日:1999-06

菫色の瞳を持つ少年スワンは誕生日に兄カイトに誕生日を祝ってもらえることもなく憂鬱に過ごしていた。
そんな彼の前にピエロαと名乗る不思議な少年が現れて…

数年前に長野まゆみさんの小説にはまったことがあり、これはその切欠となった作品です。
初めは意味がよく分からないけれど読んでいる内に分かってきます。
独特で不思議な世界観が素敵。
不思議なことを言い出す少年たち、主人公の体から生えてくる植物。
魅力的な登場人物や謎が多く、彼らのことや謎の答えが知りたいと思い始める頃には物語に引き込まれていました。
ただ、王子やピエロに性別を当てはめるのは困難だというような表記はあるものの、どうしてもBL臭がただよっていますので苦手な方は注意;
SFファンタジーとして楽しめる作品だとは思うのですが、そこが癖のあるところかと。
主人公スワンが何者なのかは少しずつ明かされていくのですが、ピエロたちの勘違いにはスワンだけでなく私も振り回されていました。(詳しくはネタばれなので省略)
謎の真相を知っていそうなカイト本人はなかなか出てこず、余計に彼の考えやスワンとの関係は気になりました。
最後のスワンとカイトのやり取りには和み、ピエロαと王子のやり取りでは心があったかくなりました。
切ないけれど優しい物語です。

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