松永弾正久秀―梟雄と称された知謀の将


浮浪者だった耳助は、ある日、偶然の出会いによって隆法院で寺奉公することになった。
寺で三好元長と出会ったことで、侍への道を歩むことに。
耳助は松永久秀と名乗り、元長の息子である長慶に仕え、初めは主君の器を評価する久秀だったが…
松永久秀の生涯を書いた物語。

悪人としてではなく人間的な史観から問い直す、と作品紹介にあったのですが、結局悪人よりの描かれ方だったような…
若い頃からただものではない雰囲気と現実的で鋭い視点と考え方をしている松永久秀ですが、時折混じる感情の動きが分かり易く、人間的に描かれてはいました。
聡明な少年長慶との出会い辺りから、物語が面白くなってきたように感じました。
史実の資料が存在しないため、松永久秀の若い頃の話はどれも創作になるわけですが、こちらも小説中の彼の性格とあっていて自然だったと思います。
文章は読みやすい方なので、さらりと松永久秀主人公の物語が読みたい方におすすめ。
終盤の久秀と鈴虫の話や月子(久秀が拾い、後に忍になった小説オリジナルの登場人物)の心情などが印象的でした。
余談ですが、長慶の少年時代が可愛かったです。

か行

Posted by tukitohondana

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