ドルイドの歌

ドルイドの歌
ドルイドの歌

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O.R・メリング
講談社
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ローズマリーとジミーの姉弟は、カナダからアイルランドの伯父の家へ休暇を過ごしに来ていた。
ある日、伯父の家で働いている男ピーターの後をつけていった二人は古代アイルランドに迷い込んでしまう。
そこで、コノハトとアルスター二つの王国による「クーリーの牛捕り」戦に巻き込まれて……
アルスター最強の戦士クーフーリンとジミーの友情、コノハトの王子とローズマリーの恋、ドルイドのピーターに魔法で助けられながら二人はロマンと冒険の世界へ飛び込んでいくのだった。
メリングのケルトファンタジー第3弾。

姉弟のおじさんとおばさんが好感が持ててほっとする。
今回の主人公は今までのシリーズとは違ってなじみ辛そうだなと思っていただけに余計に。
ローズマリーとジミー、最初は現代っ子らしい印象だったけど、あちらに馴染むのが早すぎてびっくり。
不思議な状況を受け入れるのも早い。
おかげでややこしい事にならずに話が進むけど……
半分は夢だと思っているからかな。
良い人な伯父夫婦が気になっていたので、姉弟がいなくなって心配しているだろうことを考えている辺りは好感が持てた。
メインは確かにかっっこいい魅力的な人物だけど、もう少しローズマリーが彼に惹かれる過程が読みたかった気もする。
戦士として成長していくジミーとメインと惹かれ合うロー。
読んでいて楽しい時は短く、ジミーは敵対していたクーフーリンと友情を築き、意図せず姉を窮地に立たせてしまう。
ローの心配をしつつも、この展開はドキドキして先がどうなるか気になって仕方がなかった。
ピーターの謎めいた魅力はローかジミーがあの世界に迷い混んでしまったというストーリーの魅力と似ていて、興味をひかれる。
こちらの世界に戻った時には姉弟の成長を感じられた。
でも、やはりもっとじっくり読みたいと思ってしまう。
それだけ設定と展開そのものはとても好きなんだよなぁ。
あちらに再び戻った時は、クーフーリンの追い詰められた状況と、メインと敵対してしまっているのは不安なもののやっと姉弟が協力して戦えることに安堵した。
二人ともたくましくなったしね。
最初のローの様子を思い出すととても戦場に出て戦車と馬をあやつるようになるとは思いもしなかったしな。
戦うヒロイン好きとしてもこれは燃える展開。
クーフーリンはケルト神話に詳しくない私でもよく耳にする名で、彼のことやケルトに詳しければより楽しめたかも。
誇り高く、情に熱く誠実なクーフーリンはとても魅力的だけど、何よりイマールと一緒の時の様子が可愛くていい。
クーフーリンたちとジミーたちの考え方の違いがなんとも切ないな。
どちらにもしても身近な人の死が辛いことには変わりないけれども。
クーフーリンとフーディアの戦いの後は読んでいて辛く、なんともやるせない気持ちになった。
クーフーリンとイマールの結婚と初夜の話には笑った。
気持ちは分からなくもないけど、クーフーリンが可愛すぎる。
物語のまとまりと分かりやすさは、他の作品の方がある気がしますが、人と人の縁や絆を考えさせてくれながらも幻想的で素敵な冒険ファンタジーでした。

ま行

Posted by tukitohondana

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