ドラゴンキーパー―月下の翡翠龍

キャロル ウィルキンソン
金の星社
発売日:2009-12

ダンザがくれた暗号を頼りに龍の楽園を探すため旅立ったピン。
彼女とカイを待っていたのは思わぬ再会と新たな出会い。
ピンたちは無事龍の楽園を見つけることができるのか?
シリーズ最終巻。
燕候が思っていた以上にいい人で良かった。
前の旅立ちも辛いものだったし、今回も燕候やカンシン姫が変わってしまうんじゃないかと心配していたのです。
この二人には役目を果たしつつ幸せに暮らして欲しい。
ピン自身にとってはもちろん、読んでいた私の中でも暗い思い出となっていた皇帝との再会は不安を感じるものの、ほんのり温かくなるものでした。
この二人の友情は好きだったので、この展開は嬉しい。
村人たちがカイに雨を降らせてくれというシーンは少しずつ不気味に思えてきた。
龍はもう殆ど存在していなくて、龍守り以外は龍の言葉を聞くことができないから、神格化されちゃうんだろうなぁ…もちろん雨が降らなくて苦しんでいるという状況も大きな理由だろうけど。
このシリーズはあたたかい気持ちになる出来事とぞっとする悲しい辛い出来事が交互にあるのが読んでて楽しくも安心感がある。
次はどうなるんだろう?というわくわくもあるし、人の生き方や人との繋がりについて考えさせられることもある。
姿も中身も立派に成長していっているけど、時々すごく子供らしいカイが可愛い。
ピンチとピンが苛立っている時以外は凄く和ましてくれる。
色々苦い思い出もあるけれど共に戦った人物との再会、カイ以外の龍との遭遇など嬉しいことが続く。
残りのページ数を見るともう一波瀾ありそうで不安も高まっていく。
老いた龍守りとの出会いと別れはあっという間だったものの、龍守りにも色々いたんだという事が分かり興味深かった。
胸を締め付けられる箇所もいくつかあったけど。
ダンザの事をずっと思い続けていた彼を知って龍守りと龍の絆の深さに胸が熱くなった。
ジュンの再登場は思わぬときめきをくれたなぁ…まさか、こうも頼もしくなって戻ってくるとは。
うわー…本当、持ち上げて落とすというか何というか、どちらかといえばいい事が続くと思ったらこれか…
龍たちとの暮らしは今までとは違っていて物語としては面白い。
思っていたより苦しい状況だったのには驚いた。
信じていた存在の裏切り、時を経ることで変化する感情と変わらない絆、違う思考や能力を持つ人々や種族の関係等々、そんなに長くない物語の中に多くのものが詰まっていたように思います。
読みやすいけれど内容は重め。
大人にもおすすめの児童書。
黒龍ヘイレイの言葉が痛々しくて、彼の過去が気になる。
余計なお世話だろうけど彼にも救いが欲しいと感じながら、ヘイレイの言動を読んでました。
明かされた内容はピンへの態度から想像していたのでほぼあたってましたが…これ自分が経験したら辛いなんてもんじゃないでしょうね。
ヘイレイがああなったのは納得。
カイとの別れは凄く寂しく、物語としてもピンと過ごした年数もそう長くはなかった気がするのに、傍らにいるはずの存在が消えてしまう感覚が伝わってきて涙が出ました。
ヘイレイ…どこへ行ったのか心配していたので、彼とピンが和解できたのは本当に嬉しい。
彼が甘党だったのにちょっと萌えました。ギャップっていいよね。
最後はピンもカイもそれぞれ成長しそれぞれの道を選んでハッピーエンド。
これ以上はないあったかい結末だったと思います。
この物語と出会えてよかった!

あ行

Posted by tukitohondana

inserted by FC2 system