重力ピエロ

2023年6月2日

伊坂 幸太郎
新潮社
発売日:2006-06

兄・泉水、弟・春、優しい父と美しい母。
過去にあった辛い出来事の記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件が始まった。
連続放火、謎のグラフィティアート。
二つの関連性を弟の春が見出し、兄の泉水はその謎解きに乗り出した。

兄弟共通の悪とも呼べる男の存在に向かって物語りは収束していく。
復讐と言ってしまえば簡単なんだけど、もうそれだけでは言い表せないものがあると思う。
重いはずなのにそれを忘れさせてくれるような軽やかさ。
この設定で暗くなりすぎることなく後味がすっきりしているのが好印象。
「魔王」や「終末のフール」でも思いましたが、伊坂さんの書く兄弟や家族が好きです。
この物語の場合は父親の言動や存在感が爽やかさに大きく貢献していると思います。

あ行

Posted by tukitohondana

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