三国志〈4の巻〉列肆の星

北方 謙三
角川春樹事務所
発売日:1997-04

烈風の中、敢然と中原に立つ曹操。河北四州を制し、名門の誇りを賭ける袁紹。両雄の野望が炸裂し、男たちが人の道をも踏み越え覇道をめざす北方三国志、第4巻。
以前から複雑な感情を覚えていた張飛の心の内が読めたのが嬉しい。
読んでいる私としては彼の役割は辛く感じるが、彼が劉備に惹かれ側にいると安心すると感じているなら、そう悪くはないか。
前以上に張飛のことを好きになった。
趙雲は生真面目さがしつこさになって現れているのかな。今のところ、彼はさほど癖のない人物に見える。
味方も少ないが敵対する相手も少ない劉備とどちらも多い曹操は対照的。
何となくいわんとしている所が分からなくもないが、敵がいるのは快感だと自分に言い聞かせている曹操には苦笑してしまった。
この人も最初から癖あったけど、ますます独特の思考を持った人物になってきたな。
曹操の館での劉備との会話シーン好きだ。
短いけれどだからこそ意味深で印象的で緊張感があっていい。
劉備が曹操を気にするのは仕方ないとして、劉備にこだわっている感じの曹操がいい。
前からそれらしくはあったけれど、もっとライバルらしくなってきた気がする。
王安と出会うことで面倒見の良さや優しさも表に出てくるようになった張飛。
この二人の関係もほのぼのして好きです。
涙を流す王安に対する張飛の言葉を読んで、いい男に成長したなぁと思った。
孫策サイドの話は爽やかというか読んでいて気持ちいい。
孫策の性格、周瑜との友情、孫権との良好な関係等と若さと新鮮な空気が溢れているような印象を受けるためかもしれない。
ついに曹操と敵対し戦い敗走することとなった劉備。
関羽に一時的な降伏を熱心にすすめる張遼に好印象を持った。
張遼は気になる人物の一人だったんだけど、呂布の所にいたころはさほど目立たなかったしな…名前と活躍はでてきてたけど台詞もそんなになかったし。
孫策の死は予想以上にあっけなく訪れた。
経緯があれなだけになんとも言えない気持ちに…
成玄固と赤兎の様子が知れてよかった。
赤兎の心中を思うと寂しいけれど、成玄固はいい居場所を得られていて安心しました。

北方謙三

Posted by tukitohondana

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