三国志〈3の巻〉玄戈の星

北方 謙三
角川春樹事務所
発売日:1997-02

混迷ふかめる乱世で、ひときわ異彩を放つ豪傑・呂布。
荒ぶる魂に悲しみを宿す男・呂布がついに宿敵・曹操に挑む。
滅び行く者の鮮やかな軌跡を描く、北方三国志第3巻。
呂布、前より落ち着いてきたな。
呂布の放った矢が当たると信じた劉備とその事に気付いている呂布。
二人の微妙な距離感がいい。
呂布の自信、劉備の人を見る目は凄い。
劉備と呂布、曹操の駆け引きも面白い。
呂布と劉備、合わないと思うけれど「組むなら劉備」と言った呂布。
感情だけの問題ではないだろうけど、曹操や呂布に評価されている劉備という構図がいい。
これからどうなっていくのかますます楽しみになってくる。
張飛の役回りがな…彼が悪者役を引き受けているという内容は出てくるたびに辛い。
典韋は死に様まで見事だったし、彼へ曹操がかけた言葉とか好きだったから惜しいな。
曹操相手の時はちょっと曹操ざまあ…という思いもあったためかさほど気にならなかったが、張繍相手に囁き続けている様を知り鄒氏が怖くなった。
呂布と李姫の仔犬を巡ってのやり取りはなんか和む。
呂布は優しい所もあるけれど、ああいう冗談を言ったりするのは少し珍しいかもと思って。
呂布の陳宮に対する言葉もいい。
不器用ながらも気遣いが感じられるし、思考も好き。
呂布の麾下の黒い騎馬隊がひとつの獣のように動く様はとても迫力があるだろうな…出てくる度に想像するけど実際見てみたい。
呂布が李姫に赤い布を首に巻いてくれと言ったシーンで視界が滲んだ。
嫌な予感もしていたけれど…
劉備軍と呂布軍の戦は燃えた。
二人が互いを理解しているというのも熱い。
傷ついた赤兎と呂布のやり取り、赤兎のために呂布が取った行動、降伏を促す曹操に対しての態度等々…呂布が好きすぎてこの後読むのが辛く感じた。
呂布の最期はあっけないようで、それでも彼らしかったと思う。
離れた場所に居た赤兎の行動にまた胸を締め付けられた。
孫策と周瑜が二喬を浚う話はにやにやしてしまった。
その前にしんみりしていたのが和んだ。

北方謙三

Posted by tukitohondana

inserted by FC2 system