銃とチョコレート

富豪の家から金貨や宝石が盗まれるという事件が多発していた。
現場に残されていたカードには“GODIVA”の文字。
泥棒は怪盗ゴディバと呼ばれるようになり、怪盗に挑戦する探偵ロイズは子供たちのヒーローになっていた。
ある日、少年リンツは父の形見の中にあった地図が怪盗ゴディバと関係があると気づく。
リンツは怪盗ロイズに知らせるべく手紙を出したが…
ほの暗くほんのりダークな空気が漂いつつ、探偵と怪盗の対決や主人公の少年が怪盗に関係ありそうな物を入手するというわくわくする設定展開が好み。
後半に入って今まで信じていたものや希望に次々と裏切られていく。
その時のショックと喪失感が凄かった。
読んでいて憂鬱なんだけど、展開が流れるように綺麗なので不快ではない。
ハッピーエンドはなさそうな気がしたが、結末と怪盗がどんな人物なのかが気になっていた。
そんな中、少しずつ嫌な奴だったドゥバイエルがツンデレに見えてきたのは嬉しかった。
味方とは言えないまでも、失われた信頼や裏切った人々に比べれば頼もしい人物に見えたので。
怪盗が誰なのかは予想通り。
でも、メリーが変装したロイズに渡したパンの意味は最後まで気づかなかったな…
嘘の嘘、数々の騙しあいが繰り広げられる中で、私もまんまと騙されたシーンが何度もあった。
ラストは思っていたよりも明るくて、心地よく読んで良かった。
善人も悪人もいない。
ただ、自分に正直な登場人物たちが生き生きとしていて好きでした。

あ行

Posted by tukitohondana

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