交渉人・爆弾魔

ある日、遠野麻衣子にかかってきた謎の人物からの電話。
それは、都内各所に仕掛けられた爆弾によるテロの幕開けだった。
要求は二千人の死者を出した“宇宙真理の会地下鉄爆破テロ事件”首謀者・御厨の釈放。
犯人から交渉人に指名された広報課の警部・遠野麻衣子はメールと警視庁のHPのみを使った交渉によって犯人を突き止め、東京都内のどこに爆弾が仕掛けられているのか見つけださなければならない。
未曾有の大惨事を阻止するために…
前作を読んでいないので機会があれば読みたい。
前半は交渉人・遠野麻衣子VS警察組織になっているように思う。
交渉に上が制限をかけてくるので、その中で犯人と交渉しなければいけない。
犯人の要求が難しいものなので仕方ないと思うが、最初は犯人よりも麻衣子の存在を嫌悪している警察側の人間に対する苛立ちの方が大きかった。
犯人サイドの様子があまり描かれていなかったのも、理由かもしれない。
わけあって麻衣子と共に交渉する事になった島田警部の冷静さは少しありがたかった。
麻衣子本人も落ち着いた人物だと思うが、他の味方がどうも頼りがいがないというか信頼できない人ばかりだったので。
話の流れからしてバスの運転手に視点が切り替わった時は嫌な予感しかしなかった。
彼の勘には感謝したい。
その後、予想外の展開にびっくり。
現実にいて欲しくないことは確かなんだけど、シヴァの見事な情報操作には感心させられる。
こういう徹底した頭のいい狂信者は物語的には嫌いじゃない。
シヴァの正体、実体がつかめないまま物語が進行することにドキドキしつつも、どう事件が解決していくのか気になって仕方なかった。
文章も読みやすくていいです。
捜査一課の権藤警部が遠野・島本コンビに加わってからも、なかなか思うように捜査が進みはしないものの、彼らが自由な行動を取るようになってきて面白い。
もういざとなったら責任を取るという覚悟ができているからなかな。
ちょっとずついいチームになってきている気がした。
シヴァはあの人だったか…すでに目立つ所で登場していたというのは王道のはずだけど、まったく気づかなかった。
疑ってすらいない人物だった。
動機になりそうなエピソードや頭がいい人物だということが分かる内容はよく書かれていたのにね;
終章でつっこみをいれたかった箇所は登場人物たちが言ってくれてすっきり。
思っていた以上に島本さん・権藤さんの二人が麻衣子を評価し、それに伴う行動をしてくれたのもなんだか嬉しい。

あ行

Posted by tukitohondana

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