闇のアンティーク

サルヴァトーレ ウォーカー
扶桑社
発売日:2005-11

美貌の骨董商スーザンの日常はある日を境に崩れ始める。
奇妙な客メイヤーが現れ、親友の骨董商たちが次々と惨殺され始めた。
そして、身の覚えのない理由で謎の組織に命を狙われるスーザン。
贋作制作の裏舞台など業界の内幕も交えながら、事件の謎を追いつつ、スーザンを警護するために現れたFBIのダナヴァン警部補とスーザンの恋を描く陰謀スリラー。
世界的な骨董商が正体を伏せてフランス語で発表した作品とのこと。
 
スーザンの友人の骨董商たちは、欠点もあるけれどそれぞれ魅力的でした。
それ故に彼らが次々と殺されていくのは、読んでいて辛かったですね…殺人の犠牲者は予想通りだったりして。
ただ、新しい出会いによってショックを受けている間もなく次々と事件が発生。
犯人が誰なのか、殺された理由は何なのかはさっぱり想像できず、後半には不気味ささえ感じ始めました。

謎が深まる一方で、スーザンとダナヴァン警部補は互いに惹かれあっていきます。
簡単にくっつかないじれったい感じが凄く好みでした。
ジェームズ・ヘンダーソンとスーザンの親子のような関係がまた好きでした。
考えが違うところがあって衝突するけれど、皮肉の言い合いをしながら笑い合えるほど仲が良くて、会話を読んでいていると頬が緩んできます。

骨董商という馴染みのない業界にとても興味を引かれる内容となっています。
事件の真相そのものは特別珍しいものでもなかったので、主人公のいる業界の雰囲気を楽しみつつ、突然事件に巻き込まれて日常が崩れていくのを楽しむのがメインかな。(+ロマンス要素を含む)
亡くなった人々に好印象を持っていただけに真相を知るとちょっとショックでした。
最後は寂しくなる出来事もあったけれど、スーザンとジョージ(ダナヴァン警部補)の結末はハッピーエンドで安心しました。
出来ることなら、この作者の作品をもっと読みたいと思いました。

あ行

Posted by tukitohondana

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