妖精王の月

O.R・メリング
講談社
発売日:1995-02-16

別の世界にあこがれるグウェンとフィンダファーは、タラの丘の<人質の墳墓>に忍び込みキャンプした。
その夜、フィンダファーは妖精王によって連れ去られてしまう。
従姉妹のフィンダファーを連れ戻すためグウェンの旅が始まった。
妖精たちや彼らを信じる人々に出会い助けられながら旅をするうちに、グウェンもまたケルトのフェアリーランドに魅せられていく。
そして、グウェンと妖精たちとのゲームの後に待っていたのは恐ろしい相手との戦いだった。

私がケルトの神話や伝説に興味を持つ切欠となった作品です。
ファンタジーを愛する二人の少女がついにその幻想世界と対面を果たす。
それだけでもわくわくして惹かれるんですが、また登場人物や妖精たちが魅力的で素晴らしいです。

グウェンとフィンダファーの友情も素敵ですが、グゥエンが旅する中で出会った人々の温かい心に癒され、勇気付けられます。
彼らが自然に<良き民>の存在と共にあると伝わってくる言葉が好きでした。
信じているかどうかという次元ではなく、共に生きているという感じがいいです。
妖精たちへの挨拶としてミルクやワインを置き続けていたケイティーに対して、妖精たちが取ったお返しのような言動もどこか微笑ましくいいなと思いました。
ケイティーと妖精たちには古き良き関係を崩さず続けていって欲しいです。

フィンダファーとフェアリーランドの両方を守るため戦うことを決意するグウェン。
その辺りのシーンの皆の会話にはじーんときました。
共に戦うことになる者たちの間には既に信頼関係というか絆のようなものができていたというのがすっと伝わってくる。
そして、一連の出来事を通してグウェンはもちろんフィンダファーも少しずつ変化して成長していたんだなぁと実感。
このさりげない変化がいいです。
 

ま行

Posted by tukitohondana

inserted by FC2 system