Fate/Zero(5)闇の胎動・煉獄の炎

2023年6月2日

Fate/Zero(5)闇の胎動 (星海社文庫)
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Fate/Zero(6)煉獄の炎 (星海社文庫)
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聖杯戦争は佳境を極め英霊と魔術師たちは次々と命を散らしていく。
壮絶な死闘の果てと衛宮切嗣と言峰綺礼の暗躍の先に待つ結末とは!?

父親を愛していたからこそ、その行いが許せなかった、というならまだ救いはあった気がする。
切嗣の場合。
憎しみで殺すのがいいというのではもちろんない。
ただ、子供の頃ですら、感情より正義を取ってしまう切嗣が悲しい。
ナタリアを殺すことを選んだ彼の判断もやるせない。
そうしてしまう切嗣を見ているのがとても悲しい。
人の心が分からない…そう言われていた騎士王とある意味では似ている存在なのではと今更ながら気付いた。

時臣…桜の件を除けば悪い人ではないんだよなぁ。
養子の話も本人としては本当に愛情がゆえにっぽかったし。
人を見る目がないというか、本当うっかりで残念だと思う。

マッケンジー夫妻は前から好きだったけど、グレンさんが屋根の上でウェイバーと話した内容でもっと好きになった。
こんな老人になりたい。

切嗣と綺礼の内面の描き方がいい。アニメ観ただけでは理解できなかった部分がまで見えてくる。
そりゃ、綺礼が切嗣を許せないのも分かるわ…似てると思っていたのに似ていなかったどころじゃない。
自分が探して求めてやまなかったものを得ながら切り捨て続けてきた男。それが切嗣だったのか。
勝手な怒りではあるけどね。

ウェイバーが令呪を使いきってしまうシーンとその後のイスカンダルとウェイバーがたまらなく好き。
朋友となり王と臣になる時の会話も。
この話はアニメでも泣いたなぁ。
戦闘後のウィエバーとギルガメッシュのやり取りも好みでツボ過ぎたんだよね。

聖杯が切嗣のやり方で世界の平和を実現するなら聖杯に願う意味がない。
聖杯というかアンリマユというか、あちらの言い分も分からなくはないのがなぁ。
ついに切嗣の矛盾をあばきつきつけることになったんはよかった気もする。
これで誰が幸せになったと聞かれると、皮肉なことに世界は救われて、この出来事があったからその後の士郎との出会いと生活があるわけだしな。

切嗣が聖杯を破壊しろと命じた理由がセイバーに伝わっていればなぁ。
五次で知ることになるわけだけど、四次では最後まで気の毒だったよねセイバーは。
そこも込みでZERO好きなので、なんとも言えないところ。

エピローグの切嗣サイドは優しいようで残酷なシーンよな。
あれが一種の呪縛みたいなものとなってしまったわけなので。

悲劇といえば悲劇でしたが、後味は悪くないんですよね。
それは五次があることを知っているからかと言えばそうだし、ウェイバーという存在があったのも大きいと思う。
生き残った皆はそれぞれ四次聖杯戦争に思うことはあっても後悔はない。
未来を知っているので、読んでいるこちらも後悔はない。
重いけど、どこか快い物語でした。

あ行

Posted by tukitohondana

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