パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々〈5〉 最後の神

パーシー・ジャクソンの十六歳の誕生日が一週間後に迫っていた。
クロノスはマンハッタンのオリンポス山を破壊するため総攻撃をかける。
オリンポスの神々すべてを巻き込んだ壮絶な戦いが始まった。
大予言は実現してしまうのか?
パーシーたちの運命は?
ミステリー作家による、現代のアメリカを舞台にギリシャ神話の神々や怪物が大暴れする異色ファンタジー、ついに完結。
このシリーズは文章や話の流れのテンポが凄く良くて好き。
レイチェルとの楽しい時間を過ごすパーシーだけど、平穏な時間が長く続くはずもなく、すぐに戦場へ。
クロノスの器となったルークと再会して戦いになり、ギリギリのところで助かったりと序盤からすでにクライマックス。
仲間がまた一人亡くなってしまい、大予言の内容は不穏なことしか書かれていないという悲惨な状況から結末はどうなるのか予想できない。
皆で協力しなくちゃいけない時なのにポセイドン一家はすれ違いが生じてガタガタしてるし、ポセイドンも疲れてきてる。
訓練所はクラリサらアレスの子供たちがプライドを傷つけられたと怒って孤立。
ハーフはその性質上争いもめ易い。
パーシーはだいぶ自分の感情を抑えることができるようになってきて落ち着いてきてるように思う。
アナベスは本当はもっと大人な思考をしているんだろうけど…色々不安な要素がありすぎてイライラし易い感じ。
クラリサは…もうあれで本質という気も。いやでも、彼女のことは最後まで信じたい。(結論としては信じてて良かった
最近、涙腺が緩んでいるせいもあるんだろうけど、ヘスティアやパーシーの母とポールの会話のシーンはなんか泣いてしまった。
どこでも殺伐とした空気が漂っていて、戦い傷つく戦士たちがいて…でも、待っていてくれる人がいるという事実はあたたかくて切ないけど幸せというか嬉しいことなんだと改めて思ってしまって。
彼女たちのためにもパーシーには生き残って欲しいと強く願いました。
最後の神はなるほどという感じ。
帰る場所って大切な存在ですよね。
ニコも心配でした。
姉の死から経験した出来事によって年齢よりも大人びた目をするようになった少年。
彼はもろ死亡フラグが立っていたと思うのです;
残りのページが少なくなって次々と応援が駆けつけてくるも不安は拭えず。
これどうなって終わるんだろうとますます期待が高まります。
やっとあの神も動いてくれた!
息子の言葉に耳を傾けたあの神たちと呼びかけた息子たちを賞賛したい。
ヘルメスとルーク親子は中でも重いものを背負っていた。
彼らの胸中を想像するだけで胸が痛い。彼らもまた意思を貫いて頑張ったと思う。
思えば親子とか家族も大きな要素になってるよね、このシリーズは。(神話自体そうな気もするけど)
神と人、そしてハーフ。立場も種族も違う者たちが時に憎みあい争い時に愛し合い家族になったり仲間になったり友になったりする。
様々な愛や絆の書かれ方も好きな作品でした。
息子のニコはシリアスなキャラなのに…ハデスはヘタレで確定ですね;
デメテルやペルセポネとの会話に和みました。
彼女たちのおかげでハデスのダークさが消されるレベル…今までも思ったけど女神たちは色々な意味で怖い。
ハデス、ヘスティア、アレス、ディオニュソスがラストまで特に好きな神でした。
戦いが終わってからの事もしっかりと書かれていて、この手の物語では少し珍しい気も。
不吉な予言がちょっぴり不安を残しますが、明るい未来を想像できる気持ちよいハッピーエンドだった!
パーシーはオリンポス山と神々を守っただけでなく、神々とハーフたちの未来に希望を与えたと思う。
パーシーが一番大切な人物に気づき、あの決断をしたことにも感動。王道だけどそこがいい。
レイチェルについては予想外の展開で驚きましたが、あれはあれでよかったのかな。
…あの呪いは解けたし、レイチェルも己の運命を受け入れているし。
魅力的なキャラクターが多かったので、続編が出たら読みたいぐらいです。

ら行

Posted by tukitohondana

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