冷たい密室と博士たち DOCTORS IN ISOLATED ROOM


こだわりがあったり価値観の違いで疲れてる割になんか緩いんだよな犀川先生って。流されてるようでマイペースなとこが読んでて落ち着く。

割と事件本筋と関係ない描写が多いと苦手意識を感じる人もいるらしい。一見無駄に思えるとこに面白さがあったりするので私はそういう何気ない描写や思考の羅列が好き。

被害者二人は犀川先生たちが見学兼飲み会に行っていた研究者で研究している修士課程の学生である以外共通点もない。一人は目撃者だから殺された可能性もあるのかなと思った。一度に二人が刺殺されたのでショッキングだけど、あまり周囲が騒ぎ立てないので動機が浮かび上がらず、密室だったことで謎が深まる。推理に出てきた、犯人によっては密室ではなかった方が疑われ難くなる人もいるという話が盲点だった。

叔父さん萌絵に甘すぎる;捜査資料は流石に外部に貸し出したら駄目でしょ…犀川先生の頭脳が捜査に役立つかも?と期待されてるのはなんか嬉しいし、私も捜査資料見た先生の感想聞きたいけど!

まったく事件解決のヒントが見つからない中、カナダ出張の話が出たのは怪しすぎたよね。そちらは事件に関係なかったけど。

ついに真相が近づくのかと思うと萌絵が極地研に忍び込むシーンはワクワクしてしまった。ピンチに追い込まれる展開も盛り上がる。でも、犀川先生と連絡取れなかったら危なかった。

この後、犀川先生は物凄い勢いで推理してくるだけどそこが独特。関係者が集まって説明を待っている段階で、ああ先生も天才なんだなぁと再確認した。皆も事件の真相に辿り着いてて集まってるのは打ち上げだと思っていたので…

この事件はトリック云々というより表面化してなかった人間関係のおかげもあって解決が遅れた気がする。例えば犯人の過去の事件が警察側に伝わっていれば、犯人たちの繋がりが明かされていれば被害は少なくて済んだかもしれない。丹羽が2年前にあんなことしなければ良かったら1番良かったんだけど。動機も犯行も痛ましい事件だった…

犀川先生の数学は何の役に立つのか?の回答好き。私は役に立たないのに好きなものが沢山あるけど、それと数学を同じように考えたこと無かったなぁ。ラストの犀川先生と萌絵の会話がこれまたいい。

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