サンシャイン&ヴァンパイア【再読】

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【内容と以前の感想メモはこちら】

サンシャイン&ヴァンパイア

再読するとやっぱり好みすぎてときめいた。
ロマンス小説ではないしメインキャラとの恋愛要素も薄めだけど、そこがいい。
囚われ足枷をつけられたヴァンパイアと彼の食事として用意された人間。
正気を保つためヴァンパイアは女性に話をしてくれと要求する。
本が好きだった彼女は自分はシェヘラザードなのか?いや相手が人間でない分、自分の状況の方が悪いと嘆く。
しかも、彼女が好きなおとぎ話を話してくれと言われて話すおは美女と野獣だという…なんかもうこの時点でツボすぎる。

ヴァンパイアのコンスタンティンが自分を囚えた存在に負けたくないゆえに主人公のサンシャインの血を飲もうとしないところも、サンシャインが逃げ出せることになった時にコンスタンティンを連れて逃げようとするところにも好感が持てる。
今まで詠んだパラノーマルロマンスのどのヒーローやヒロインより高感度は高いかもしれない。(面白いがロマンス小説はイライラする登場人物も多い)

平凡な女性が実は強力な魔法使いだったというのも王道でワクワクする。
そして、二人で逃げると決めた時にコンスタンティンがサンシャインを「共犯者」と言ったのも好み。
逃亡が始まると二人は協力しなければいけなかったことが分かるし、コンビネーションもいい。
なんでこれ続編がないんだろう…

去る時にコンが残したメモに「私のサンシャイン」と書いてあったのもポイント高い。
コンもだけどチャーリーといいメルといい、優しく冷静な人物多いよな。
いきなり酷い目にあったサンシャインにとってはすごく救いだと思う。
真相に気付いて欲しくない魔物対策部隊のメンバーすら、自らの秘密を先に明かすという誠実さを見せてくれている。
秘密にしておきたいことや辛い記憶を他人に話すのは勇気がいる。
けれど、黙っておくのも苦しい。サンシャインはよく耐えた。
秘密を共有するコンにサンシャインが多少の親しみに似たものを抱いてしまったのは自然な流れなのでは。

魔物の血をひいているだけで行われる差別の数々が酷い。
読んだ感じ世界に結構いそうなのにそれでもマイノリティなんだな。
現実でも差別や偏見に数の差が必ずしも影響しないっていうのはあるか…

次々と発動するサンシャインの魔法。
ヨランデの言うように師を持たなかったからこその結果なのだろうか。
ただ、もし師について魔法使いになっていたら、今回のような厄介事には巻き込まれなかったような気もする。
パン職人よりはスリリングな日常を送ってそうだけど。

コンの紳士的な態度が救いでもあり、もっとも信頼できるのがヴァンパイアの彼であることは不安でもある。
彼との交流においてヨランデが味方になってくれたことに感謝。

それにしてもこの手の小説が長いのは主人公の脳内がものすごい勢いで色々考えていて、それを全て書いているせいだと思う。
サンシャインの思考は私にとっては共感し易いものなのでいいけれど、合わないと苦痛だろうなぁ;

ボーを倒すという行為はその前の過程は長かったのに最期はあっけなくてびっくり。
サンシャインの中でその瞬間は色々長く考える余裕がなかったということなのかも。
ここにきてサンシャインがあまりに最強すぎて、ますます続きが読みたくなった。
ボーの件が一段落して、なお苦しむサンシャインにとってコンは最高のパートナーに思える。
他者を理解しようとする誠実さはヴァンパイアでなくても貴重。
メルもサンシャインにあってる恋人だけど、コンとの関係の進展を期待したいな。

ま行

Posted by tukitohondana

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