バッタを倒しにアフリカへ

バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)
前野ウルド浩太郎
光文社 (2017-05-17)
売り上げランキング: 140

バッタを研究しているためバッタアレルギーになり、それでも子供の頃から「バッタに食べられたい」からバッタの群れに突撃したがる。いきなり狂気を感じる内容で面白い。
各章もタイトルからして面白いのがやばい。Twitterで見かけて気になっていたんだけど買って良かった。
バッタに興味がなくても知らない国の実情を知るのが好きな人は読んでいて楽しいと思う。
モーリタニアの漁業支援を日本が行っていたことや、タコはこの国から輸入しているものが多いなどの情報もある。
騙された話とか損をしていたことに後から気付いたというエピソードも出てくるので、これから外国に行く人にも役立つかも。
アフリカンタイムは慣れるまでイライラしそうだ。気楽といえば気楽だけど。
料理とか文化も読んでいて楽しい。
おまけに写真がカラーのものも多いのが地味に凄い。

バッタの相変異が怖くも興味深い。バッタとイナゴの区別がそこにあるとは知らなかった。
そして、アフリカでバッタに覆い尽くされる規模も甘く見ていた。まさか東京都サイズだったとは…そりゃ天災だわ。
ゴミダマとハリネズミの話も現実ならそういうこともあるか…という意外性があった。
著者の発想とか着眼点もすごくて、ああ色々な物事や生物が連なって世界ってできているんだなと感じた。

次々と不運に遭遇し、騙されたり価値観の違いに戸惑ったりするが、著者はへこたれない。
転んでもつまづいても起き上がるたくましさがフィクションの主人公のようで読んでいて惹きつけられるだけでなく、論文やブログで培った文章力と人を楽しませる話術が光っている内容となっている。
後半に入る頃にはこの著者の本をもっと読みたいと思い始めていた。

それにしても所長の器のデカさと大らかさがいい。本当いい上司。
著者本人の魅力はもちろん周囲の人々とのつながりもいいなぁと思う。これも著者のやってきたことの結果なんだよな。
運が悪くてお金はないけど情熱を持って頑張り続けている人のところんは同じような人が集まってくるということか。(最終的には運もついてきてるし)

自分の状況を受け入れつつ時には苦境を武器にしてその都度できることをしていれば、新しい道が開けるのかもしれない。
裏ヤギの話には笑った。これだけ喜んでくれてお互い得をするのだから良いのかもと思う。
白眉センターの採用の際は過ぎたことながらとても嬉しかった。
色々な物事や人にも感謝しているし、本当にこの人健全だなぁ…バイタリティにあふれていていい。
元気をもらえる気がする。

ついに緑色の全身タイツになり、その後ティジャニーになぜか質問されているところも笑ってしまった。
凄い人だけど、あの夢が狂気的なのは否定できない。
夢を追うことの素晴らしさと共に代償についても書いてあるのは好感が持てる。おしつけない感じもいい。
人が夢が叶うのは、情熱と努力と環境、周りの人、運などなど全てが噛み合った時なんだろうなとあらためて思った。
何にせよ夢を持つと喜びや楽しみが増えて、気分良く努力できるというのは分かる。
大きな夢でなくてもそこは共通。

ま行

Posted by tukitohondana

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