月光の淵―深き水の眠り

2023年6月2日

月光の淵―深き水の眠り (コバルト文庫)
毛利 志生子
集英社
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沙月が出会った青年・汀は、水蛇を食べて不死となった蛇巫だった。
成瀬の当主を探している彼を玻瑠佳のもとへ連れて行く沙月だったが、汀の持っていった「水蛇を吸い込む水晶玉」に吼が捕らわれてしまい…

特に何かするべきことがないといけないってことはないけど、人ってそういうものを求めてしまうからなぁ。
吼をただ傍にいさせていいのかと思ってしまう沙月の気持ちは分かる。
壺で眠ったり、猫のこぶにたかられている吼は可愛くて和む。
蛇巫である沙月の護衛だと思えば重要な役割を持っているんだけどな。
それを言うと、沙月は自分が蛇巫としてなにもしていないと気にしそうだしなー。
汀さんのことは心配だけど、饅頭を食べてる朔にはなんか癒やされる。
そうか、水霊は物を食べることができるのか。
吼の過保護なところが萌える。
静河のような落ち着きが吼にあれば沙月ともめずに上手く守ることができるんだろうけどね。
あの不器用さも吼の魅力。
主を持つ水蛇ですらひきつけられる蛇巫か。
静河の意思は強くて、玻瑠佳を思うと複雑。
人と人ならざる者が一緒にいるって素敵だけど、色々問題は山積みだよね。
静河が沙月に特殊な蛇巫について語るシーンは少しドキッとしてしまった。
前田先生が沙月を地学部に誘ったのは、他の思惑もあったかもだけど由真みたいに自然と沙月を助けられるのはいいね。
彼女の過去を知ってより好感が持てた。
小峰に関しては、もう彼が罪を重ねることはないのであれでよかったように思う。
もちろん彼が自分の犯した罪に気づき今後考え方や生き方をあらためたなら、それに越したことはなかったろうけど。
沙月、吼、檸檬、朔さんの会話には笑ってしまった。
可愛い水蛇も増えて、この話は一件落着かな。
吼が無事に戻ってきてよかった。
彩姫が沙月の夢に出てきたような少女なら、吼が強く優しいのは納得できる気がする。
吼VS汀は美味しいので、汀さんにはもうちょっと出番が欲しかったな。
ありのままの沙月を受け入れてくれる由真という存在の登場も大きい話だった。
玻瑠佳との関係はお互いを支えにするものだけど、なんかこう一緒にいて自然っていうか普通に肩肘はらずに付き合える友人もいるといいかなという感じ。

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