山霧―毛利元就の妻


山霧―毛利元就の妻〈上〉 (文春文庫)
山霧―毛利元就の妻〈下〉 (文春文庫)

1997年のNHK大河ドラマの原作です。
最初に「これは乱世の梟雄、毛利元就の物語ではない。
中国山脈の山裾の霧の中を這いずりまわりつつ、十六世紀を生き抜いた若い男と女の物語である。」
と書かれており、これは読み進めていくと意味が分かると思います。
物語は、元就の妻・おかたが毛利家へ嫁ぐところから始まり、彼女の死によって幕を閉じる。

元就が勢力を拡大するまでの出来事が書かれており、大内家と尼子家に挟まれ、どちらにつこうかと悩んでいる頃なので元就の迷い苦悩する姿も多く描かれています。
元就は愚痴っぽくて用心深く心配性。
そんな彼を支えるおかたの会話は読んでいてとても面白いので、歴史小説が苦手な方でもおすすめ。
楽天的なおかたは、元就と対照的ですが頭は良く、少し腹黒い二人の会話は奥が深くその絶妙な距離感がたまりません。
ちゃんと距離を取りながらも、仲が良いのが分かります。

歴史小説というよりはホームドラマというレビューを見かけましたが、まぁ確かに…
厳しい状況の中で武将夫婦が領地を守り、子育てをし、一生懸命生きる様が描かれている作品ですね。
元就一家だけでなく他の人々も人間味あふれる描かれ方をされているので、人間ドラマとして私は楽しめました。
とってもおすすめです。
感情移入しまくっていたため、終盤はぼろぼろ泣いてしまいました。
元就たちの気遣いとか、おかたの最期の言葉とかが……頭から離れません。
元就、おかた、息子たちがとにかく可愛かったです。(最後のしめがこれですみません;)

な行

Posted by tukitohondana

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