暁と黄昏の狭間〈4〉甲蛇の書

暁と黄昏の狭間〈4〉甲蛇の書 (トクマ・ノベルズEdge)
西魚 リツコ
徳間書店
売り上げランキング: 1,031,129

ギルダン・レイに死をよりも惨い苦痛と屈辱を味あわせてやる。
耐魔力を持つ鉄器を求めて赤い平原へと旅立ったセフルとギルダン・レイを復讐心を抱く魔呪師チョンベルが待ち受けていた。
二人は火神ソーンを崇める部族から無事『セゲドの鋼』を手に入れることはできるのか?

セフルとギルダン・レイは互いを思いやるあまりに疲れてきていたので、アザポーが旅の仲間に加わったのはありがたいことでした。
互いを好きだからこそ上手くいかないことはあると思う。
もどかしいけれど、二人っきりになってもなかなか進展しそうにないセフルとギルダン・レイの様子は微笑ましくもある。
恋愛面はともかく互いのことは信頼していると思うので支え合っていけるコンビになれたらいいのにな。

優秀な魔術師たちはことごとく裏があったから、レイ卿が祈祷師のツラカッハを信用できないのは仕方ないし、結果を思えばね…
彼らは生命に影響を与える術を持つのでおそれの感情も持ってしまうしな。
亡くなった身内の体の中に他人がいる。
レイ卿が動揺するのも無理はない。
ワンを継ぐのは臓器提供とか意志を継ぐというイメージで嫌な感じはしなかった。
でも体そのものとなると印象は大分違ってくる。
こんな形でギルダン・レイの人間臭い部分を知りたくなかったなぁ。
デュランが亡くなった時は物語としてはさらりと流れていたけど、レイ卿にとって悲しくないはずがなかったよね…

チョンベルのあれは憎悪というか執着心なんじゃないかな。
力とか真理とか復讐対象へのそれが彼を追い詰めてるんだけど、自覚がないような。

セフルが剣を完成させるまでの話はわくわくして読みました。
ただ、どうしてもセフルが女の子なんだと再確認させられる出来事は辛くて嫌悪感が湧くものが多い。
でも、世界観にはあってるんだよなぁ。

多くの犠牲をはらって登場人物たちが成長していく物語は読み応えがあるので、読んでいて辛い時があっても続きが気になる。

ケリードはセフルのことを侮り過ぎではと憤りを感じてしまった。
政治的な意味でギルダン・レイと引き離したいというのは分かっても、二人の関係を軽く見過ぎでは。

二人の関係が進展したのにまったく喜べない展開。
ギルダン・レイどうなっちゃうんだろうか…心配で仕方がない。

な行

Posted by tukitohondana

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