あしながおじさん

あしながおじさん (1966年) (旺文社文庫)
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孤児ジェルーシァに突然幸運が訪れた。
月に一度学校生活について手紙を書く約束で、彼女を大学に入れてくれるという紳士が現れたのだ。
ジェルーシァは、名を明かさないその紳士を『あしながおじさん』と呼ぶことにして、ユーモアあふれる手紙を送り続けるが…

私が生まれる前に出た本の翻訳だけど、読みやすくて嬉しい。
あしながおじさんとの最初の出会いはアニメでした。
姿の見えない後見人ってロマンがあって好きです。
導入部分で物語に引き込まれる要素だと思います。
ジョン・スミス氏はどんな方なのか?それを考えるだけでも楽しい。
手紙はテンポよく、ジュディが充実した大学生活を送っていることが伝わってくる。
サリイとジュリアのギャップがよく、これからジュディとジュリアの距離がどう縮まっていくかも楽しみでした。
ジュディはプラスの面もマイナスの面も自然で普通の女の子という感じなので、感情移入し易い。
孤児であることがコンプレックスに見えるけど、そこも人間らしいので。
ジュディが読んだ本が手紙に登場する度、色々読んでみたくなる。
そして類語辞典も欲しい。
あしながおじさんの正体を知っているので、ジュリアの叔父さんとの出会いはドキドキするエピソード。
そうでなくてもジュディが好意的に見ている男性が手紙に初めて登場しますし。
ジュディに会いに来たのかなと思っただけでも、なんだか嬉しい。
農場での夏休みはジャーヴィスさんの子供時代の話が微笑ましい。
それにしてもジュディの手紙を読んでいると相手に感謝の気持ちと敬意と好意があふれていて、彼女のことが好きになってしまう。
ジャーヴィスさん、普段は近づきにくいけれど、ジュディが相手だと違うという辺りがときめきめく。
あれだけ手紙を貰って読んでいれば、身近な人物に感じていうのはありそうな気もするけど。
ハムレットを気に入っているジュディのためにそのお芝居を観れるよう招待するとか…スマートなおじさまだな。
ここまで素直に喜びを表されるとそりゃ可愛いわな。
50ドルの件は…あまりの甘さに苦笑。
でも、それをジュディが返した理由には感心してしまった。
あらためて読んでいると、そこかしこにあしながおじさんの正体のヒントがあるな。
夏休みはロック・ウィローへ行くようにという意見は萌えざるを得ない。
「ジミイ・マクブライドとその男友達」がいることに対する心配か、自分が一緒に過ごしたかったからか。
どちらにしても美味しい。
ジャーヴィスさんからは手紙きてたのか…
そちらのやり取りも読んでみたかったかも。
想像するのが面白いというのはあるけど。
夏休みのヨーロッパ行きを断った際のおじさんの行動にはちょっと笑ってしまった。
これでは本当に教育のために必要だからヨーロッパに行かせたいのかと疑問に思ってしまう。
ジュディとジャーヴィスのこの喧嘩は正直ちょっと微笑ましかった。
残念ながらジュディの自立を阻止しているように見えてしまう。
14歳差かいいな。
ジュディがジミイと結婚したがっていると勘違いするのは無理もないかな。
手紙の内容読むと少なくとも彼がジュディに好意を持っているのは分かるし。
やっぱり正体が明かされるラストは胸が熱くなるわ。
すごく幸福なハッピーエンドでこちらも幸せな気持ちになれました。
彼が無事で本当によかった。
解説を読んでなるほどと思った。
ついときめきを重視して読んでしまったけれど、おじさまのジュディへの態度の意味の深さに感動してしまいました。
確かにおじさまが最初からジュディの目の前に現れて、好きだからお金を与えて甘やかしたというのでは、おじさまの行動に善意的なものを感じ取れなかったかもしれない。
この物語はお金を恵むあしながおじさんと、彼女を愛し尊重するジャーヴィスさんがわかれた存在としてあるからこそ感動するのかも。
続編の内容には今まで興味がなかったのだけど、そちらも気になりはじめました。

あ行

Posted by tukitohondana

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