世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(下)


博士がいきなり孫娘との関係を勧めたのはそういうことか。独特な思考の天才ではあるけど、一応主人公のことをよく知った上で孫娘をすすめてたのね。この博士はなんだろ。他者への見下しとか偏見が酷いんだけど倫理観がないわけじゃないし、なんかずれてて憎めないタイプだな;この手の天才って能力高いからってだけじゃなくて変人だから好き。

世界の終わりが物語として成立してるのは主人公の思考が筋が通っていて完璧だからってこと?無意識下でそんな思考の人間なかなかいないだろうからそりゃ計算士になれる人そういないわなとなった。意識の核の映像化は面白い。私の核の映像内容は混沌としてそうだけど、色々な人物のそれを見てみたいな。

博士がここにきて主人公に責められまくるのは自業自得すぎて苦笑。いやだって彼以外の計算士全員亡くなってるからな;なんてことしてくれたんだと思われるのは流石に仕方ないかと。

世界の終わりの世界観がやっと説明された。影の死、一角獣の存在意義、街の人々。確かにここの世界で生きていくことになれば永遠に死なない。でも、主人公も思っているようにそれは死んでいるのと変わらないよな。心を失ってまで生きていたくは無い。生きるのは苦しいことだけど、その苦しみも感じながら生きているからこそ幸せや喜びも感じられる。 世界の終わりサイドで影と共に街の外に出てたなら主人公はあちらの世界に行かずに済んだんだろうか?まぁでも現実の世界で自分は狭い世界で生きていてそれを広げるつもりはなかった主人公なのだから、心を失わず大切なものと共に穏やかに生きることができるあちらの世界の森を選ぶのは納得出来る。

何年か後に成長した博士の孫娘に起こされるの想像するとそれはそれで面白そう。

この物語、自分の記憶力を疑わざるを得ないほど詳細覚えてなかった。でも、好みだったとか面白かったことさえ覚えてればまた読もうと思えるからいいのかも。

ま行新潮文庫

Posted by tukitohondana

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