緋色の聖女に接吻を-白き翼の悪魔-

緋色の聖女に接吻を-白き翼の悪魔- (ルルル文庫)
葵木 あんね
小学館 (2016-06-24)
売り上げランキング: 356,683

死の間際、生き延びるために悪魔バルキネスと契約した少女アリーチェ。
成長した彼女は枢機卿となり、復讐のため史上初の女教皇を目指していた。
天界を追われた元天使のバルキネスの残された時間は短く、生き延びて天使に戻るためにもアリーチェの聖なる印「神の接吻」が必要だった。
しかし、神の接吻を失った人間は死んでしまう。アリーチェを愛するバルキネスに彼女の命を奪うことはできない。
葛藤するバルキネスだったが、そんな中教皇選挙が始まる。
ある枢機卿が謎の死をとげ、二人は事件の真相を追うが…

この著者の作品は気になっているのが多いけれど、読むのは今回が初。
それにしてもあきさんのイラストは遭遇率高い。好みの小説を買うとあきさんがイラストを担当されてる。

お風呂のシーンで悪魔が予想外にゆるくて笑った。
おまけに世話好きなのね。
願いを叶えるのに直接関係ないことまでしてくれているのか。

メレンゲをくれた幼女の正体は想像通り。
出会いも可愛いし、バルキネスがアリーチェに惚れ込んでいるのが微笑ましくて可愛い。
ミケーレに嫉妬する姿にも苦笑。
アリーチェとバルキネスの会話は甘すぎてびっくりする。
これで家族でも恋人でもないというのがすごい…

ミケーレは最初から教皇にはどうかなという印象でした。
繊細なのは気の毒にも思うが、純粋で無知ゆえの残酷さがネック。
ミケーレが病の幼子とその母親を無視して、アリーチェの不名誉な噂について質問した辺りでああこれ事件の犯人だわと確信。
罪人と判断した相手を脅したりもしているので、純粋というのも微妙な気がしてきた。罪人相手なら何してもいいって判断かな。
狂っているにしては冷静すぎた気もするし、それでいて思慮が足りていない面があり傲慢でもある。
一種のサイコパスか。

俗世から離れたところにいるようで、人のめでたいことにも悲しいことにも関わる仕事なんだよな聖職者って。
割り切れる人か許容量の大きな人でないと辛いだろうなとふと思った。もしくは何も感じない人。

ジュストまじか…アリーチェと繋がりがあったのはともかく、兄弟ぐらいかと思ってたのに。
もうちょっと年齢上でもよかったのでは。
ジュストが毎月、あの儀式をしてきた理由にも涙が。くやしいけれど、これはくるな…二人の別れにも泣いた。

ドナを祝祭の罪人に選んだ神父、最悪じゃないか。
ろくな人でてこないなこの世界。
その分、ドナのような存在が輝いて見えるんだけど。
あと本当に最後まで純粋だったのは元天使の悪魔バルキネス。
彼だけは物語の最初からずっと誠実でもあったしな。
まぁ、過去はミケーレとは違う方向に酷かったわけなので…彼に罪がないとはいえないけど。

ラストは綺麗なハッピーエンドですごく好みでした。
やっぱりアリーチェとバルキネスのカップルいいわ。
ストーリー的にももっと長く読んでいたいコンビだった。

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