虎の城

野望渦巻く戦国乱世。
槍働きで出世の夢を抱く藤堂高虎は、主を探し放浪していた。
羽柴秀吉の弟・秀長に認められ仕官した高虎だったが、秀長は“算盤侍”と呼ばれ、合戦を得意としない希有な戦国武将だった。
ひたすら金策に走り秀吉をかげで支え続ける秀長の姿に、高虎は新しい武将の在り方を発見する。
高虎は秀長の下で兵法、築城、兵糧や金銭の調達、人の心を掌握する術などを学び天下に名をとどろかせ始める。

物語としても面白いですが、人との縁や生き方についても考えさせられる小説でした。
戦場で功を稼ぎ出世することを第一に考えていた高虎さんが、秀長さんと出会うことで変わっていく様が丁寧に描かれています。
秀長さんとの出会いから彼が亡くなってしまった後でも、秀長さんの好感度が上昇し続けました。
高虎さん本人の努力や才能はもちろんあったのですが、秀長さんと出会わなければ彼は徳川家康が天下を取った後までこれだけ活躍できなかったでしょう。
それに小説中でも、これだけ魅力ある人物にはならなかったと思います。
上司である秀長さん、配下の武将たち、父や妻などの身内への思い、仕事への情熱、どちらも深く伝わってきました。

最後の方で高虎が亡くなった秀長の声を聞いた気がするというシーンでの会話は何度読んでも、なんだか泣きそうになります。
いつかは枯れる花の例えは真理ですね。

合戦シーン付近が勢いがあって好きなのですが、人間関係も感情移入しやすいように書かれていたように思います。
次は石田三成が気になり始めました。
前に読んだ「軍師の門」でも三成は敵対している人物だったので余計ですね。
あとはやっぱり秀長ですね。

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Posted by tukitohondana

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