犯人のいない殺人の夜

「小さな故意の物語」
親友が屋上から落ちて死んだ。自殺ではないと確信している少年は真相を探し始めるが…
強い感情が絡んでいない辺りが身近で怖い。
虚しさの残る物語でした。

「闇の中の二人」
弟を殺された生徒の家へ向かった担任教師が知った事件の真相とは…
うーん、ドロドロ。
微笑んだ赤ん坊と、それに対して犯人が衝撃を受けるシーンが印象の残りました。

「踊り子」
毎週水曜日の夜の塾帰り、少年は女子高の体育館で新体操の練習をする少女に恋をする。しかし、その恋の結末は…
少女も悪いことをしていたとはいえ悲惨な結末。偶然が原因なわけですので酷く後味が悪いです。

「エンドレス・ナイト」
大阪で夫が亡くなり東京から妻が呼ばれた。彼女と会い、疑問を抱いた刑事は彼女と一緒に被害者の事を調べるが…
べたな展開でしたが、泣きそうになりました。

「白い凶器」
とある会社で二人の男が殺された。刑事たちは平凡だが何かひっかかる女性を疑い始める。
被害者たちが殺された理由が今時ならありえそうでぞっとしました。
ところどころで入る犯人らしき人物の会話に興味をひかれていたのですが、感じた違和感の正体が…

「さよならコーチ」
一人の女性がアーチェリーのコーチあてにビデオの遺書を残して自殺した。その死の真相とは…
この手の話は苦手。でも、最後亡くなった女性が犯人が殺そうとしていることに気づいていたというのはちょっと切なかった。

「犯人のいない殺人の夜」
ある家で人が死んだ。殺人を隠すため家族と家庭教師たちは死体を隠すが…
死体を処理しようとする描写はあるものの最後まで犯人と事件の真相が分からないという展開。
真相と最後の被害者視点の話がちょっと怖い。

東野圭吾さんの小説は初めて読みましたがとても読み易かったです。
淡々とした雰囲気を持ちながら裏でドロドロしているという印象。
良い意味で虚しくなれる作品だなと思いました。

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Posted by tukitohondana

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