十二国記 東の海神西の滄海・図南の翼

今回は、雁州国延王・尚隆と、延麒・六太中心のお話。
無茶苦茶だけど実はすごい尚隆がよく分かる。
二人のコンビが好きな人にはたまらない一冊。
時代劇に多い王道な展開が好みです。
更夜と妖魔の特殊な関係が登場することで、妖魔の不思議さが増す話でもありました。

雁の主従はお忍びで出歩くことも多いため、水戸黄門的要素強め。(こういうの好きです)
陽子も似たような展開がありますが、最初から全部計画して実行していた尚隆とは対照的な点も多いですね。
この物語では純粋であるがゆえの更夜と六太それぞれの言動が見ていて少し辛いです。
良い人なのかどうか分からなくなっていた某人物が、本性を出した時は、ああ騙されてたな…と思いました。
小野不由美さんは人間の書き方がやっぱり凄いですよね。深い。

恭国の女王珠晶が十二歳でありながら麒麟に天意を諮るために蓬山をめざす、その過程と道中を描いた物語。
他に主人公となった王、陽子や尚隆では見れなかった昇山とはどんなものなのか、どれだけ厳しいものなのかというのがよく分かります。

珠晶はちょっときつい面もあるけれど、そのしっかりした思考には納得できる所も多く、己の過ちには最終的にすなおに認められる柔軟さがあり好感が持てるキャラなんですよね。
大人びた面を持つ純粋な子供。
彼女はその良い面を生かした王というイメージ。
幼い子供が自らの意志で昇山するということにわくわくし、次々と難事を切り抜けていくという王道的展開がこれまたいいです。
これまでの物語では昇山して王になるという描写がなかったので、昇山がどんなものなのか気になっていたこともあり楽しく読めました。
もちろん十二国記なので重みもありますが、珠晶の性格が暗い印象を与えることを妨げてくれます。
珠晶が現実を受け入れながらも、時には最後まで貫き通す頑固さもまた彼女の魅力です。
柔軟なことと、ただ流されたり思いを曲げることは違いますもんね。

あ行

Posted by tukitohondana

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