魔女の目覚め 上

デボラ・ハークネス
ヴィレッジブックス
発売日:2011-07-20

イェール大学の若き歴史学教授ダイアナは、錬金術の研究中にオックスフォードのボドリアン図書館で一冊の写本を手にする。
その本は彼女に何かを語りかけているように見えた。
魔女の家系に生まれながら魔法を否定して生きてきたダイアナはすぐに本を返却するが…
写本と出会うことによってダイアナと彼女の周囲は変化していく。
魔女、デーモン、ヴァンパイアが人間社会の中で生活している世界。
正体は隠しているけれど自然に混じっているというのが好み。
主人公のダイアナが魔女として生きることを嫌がっているのも面白い。
その理由は重めだけど、だからこそのミステリー要素もあるしね。
本好きなので物語の始まりが図書館で特別な本が需要な鍵なのも惹かれる。
クレアモントとの出会いも王道的で、だからこそ印象に残る。
彼が本当にダイアナの論文のファンであり、それだけが理由で声をかけてきたのか?という疑問を覚えるところもミステリアスでそそられる。
クレアモント視点ではダイアナが気づいてしまうのでは、とドキドキした。
一方、彼の狙いが少し見えて、これからの展開が気になった。
魔女はいくら魔術と距離をとろうと、魔術からは逃れられないのか…
食事をしたり一緒にヨガの講習を受けて距離が縮まったかに見えた二人。
ところが意見の対立から再び冷えた関係に逆戻り。
このじれったい感じがいい。
友人と会ってからのマシューに萌えた。
ダイアナの前では閉ざしていた胸の内がわかって。
マシューの様子を面白がったり心配しているハーミッシュの指摘がいい。
ダイアナに惹かれているようなのに、それを認められずにいるマシューは興味を惹かれる。
彼が彼女についての感情(欲望?)をどう処理するのか、いつ認めるのかを考えただけで楽しかった。
もう少し悩んでいい気もしたけれど、過去の過ちとそれに対する苦悩を思うとなぁ…
今までもダイアナのストーカーっぽい所があったマシューの行動がどう変化するのかは気になるな。
謎が多いせいかもしれないけれど、サラやジリアン、ノックスが鬱陶しくて仕方ない。
サラはまだダイアナを心配しているから仕方ないとしてジリアンがなぁ…
ノックスとのやり取りで精神的に不安定になったダイアナはマシューに助けを求めるけれど、これマシューにとっては良くも悪くもたまらないだろうな;
これが吉と出るか凶と出るか。
マシューの年齢については彼の広く深い知識の一部を知れば納得できる気がする。
生きた時代や年月、そして種族の違いに関するダイアナとマシューの会話は面白い。
マーカスやミリアムも交えたアドレナリン、DNA、クリーチャーたちの起源と絶滅等の話はわくわくした。
物語中には香りに関する話題も多く興味をひかれる。
不用意な事を言ってしまってマシューが怒りや忠告と共に欲望の一部を見せた時は萌えた。
この緊張感ある命がけのやり取りがいいなぁ。
マシューが住んでいた部屋や建物はどれも興味をひかれたけれど、家がこれまた凄いな。
イザボーの存在はちょっぴり不安で、謎の脅迫者も気がかりだけど、あの城塞はいい。
ダイアナのDNAの謎、彼女は他にどんな力があるのか?
疑問と興味が尽きない。
せっかくマシューの家に馴染んできたのに、マシューとダイアナの関係の障害となっていた存在にも新たな動きが。
少しずつ関係者が増え、事態も深刻化している。
どの問題も解決できておらず、下巻でどう収集がつくのか気になるところ。
読むのが楽しみ。

は行

Posted by tukitohondana

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