トゥルーブラッド9 去り行く者たち

シャーレイン・ハリス,Charlaine Harris
ソフトバンククリエイティブ
発売日:2011-10-20

ヴァンパイアに引き続き、変身人間たちがその存在を世界中に暴露し、その影響でサムの身内にトラブルが起きてしまった。
彼に代わり<マーロッテ>の営業を任されたスーキーだったが、店の敷地内でクリスタルの死体が発見される。
警察が調査をするも有力な手がかりはなにもなく犯人は捕まらない。
そんな中、ナイオールと敵対関係にあるフェアリーたちがスーキーを狙っているという。
スーキーは今までに貸しのあるスーパーナチュラルたちの助力を得て、自分を守ろうと決意するが…
タイトルがなんだか不吉で悪い事が起きるのは毎度のこととはいえこわかった。
ついに変身人間たちの暴露の時がきたのか。
サムが不在の間、店を任されたスーキー。
新しいルイジアナの王たちとの食事会の誘いも不安を呼ぶ。
ああ、エリックとの関係がスーキーにとっては不本意な方向へ進んだな…
スーキー自身が知らずにやってしまった儀式の意味は気の毒に思いながらもにやりとしてしまった。
エリックの性格を考えると彼にしてはスーキーを尊重した選択だったと思うけれど、そこもいい。
すでに慌ただしい日々を送っていたスーキーの前に新たな殺人事件が…前巻ですでに叶わぬ願いだと分かってはいたものの、あの二人も幸せになれなかったなぁ。
今のスーキー、エリック、パムの関係がすごく好きだ。
でも、このシリーズの今までの内容からして、関係が安定するとは思えないんだよな;
残念ながら。
アーリーンとの友情がああなってしまった分もタラとの仲が良好で嬉しい。
幸せなタラたちの未来が明るいものでありますように。
ナイオールが意外な場所に登場。
これにも不安を掻き立てられた。
彼の態度とスーキーへの好意は微笑ましい。
スーキーの長い一日の出来事には同情せざるをえない。
一日ぐらい彼女をそっとしておいてあげればいいのに、次々と現れる面々がまた自分勝手でなんとも…
クインとの別れ方は確かにあまり後味のいいものではなかったけれど、あのまま別れていた方が彼への好感度は増していたかも。
その点はビルもだけどね。
読み進めれば進めるほど、泥沼に入って抜け出せないような感覚に陥った。
もうかなり前からフェアリーのせいでスーキー被害被ってるじゃないか…能力以外でも。
スーキーが少しずつ強かにたくましくなっていってるいるのが分かるとほっとしつつ応援したくなる。
初めの方の彼女も好きだったけれど、今の状況では変わらないと生き残れない。
フェアリーたちが最初に登場した頃は、彼らがどんなに危険な存在なのかも、スーキーの血の秘密も、彼らのこちらの世界での結末も想像すらしなかったな。
今までも辛い展開は多かったけれど、今回のは重かった。
そして、今更ながらタイトルがトゥルーブラッドである理由に今回はじめて気づいた。
トゥルーブラッドが作られたことでヴァンパイアが表の世界に出てきて、それによって世界は大きく変化した。
それは、この物語の主人公であるスーキーにとってもそうだった。
トゥルーブラッドなんて作られなければ…とまでは思えないけれど、不思議で皮肉な話だよな。
ナイオールについても本当残念な結果に終わった気がする。
でも、少しでも彼の愛がスーキーの中でいいものとして残ればいいのだけれど…
ナイオールは意味深な言葉を残していったし、これからのことも気になるけれど、なんだか少し疲れた。
あまり期待できないけれど、次巻でスーキーが少しでも幸せになれれますように。
内容の面白さに関しては、今回も楽しかったです。
巻が進むごとに悲惨さもましているけれども。

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