祝もものき事務所

やる気、根性、能力がない事務所の所長のもとに凶器、指紋、目撃者、動機がそろった現場不在証明なしの被告人の無罪証明の依頼が舞い込んできて…
デルフィニア戦記を再読する前に茅田さんの作品で軽く読めそうなものを…と思い手に取りました。
後書きで「ミステリーではない」と書いてあるのをチラ見していたので、どういう話なのかいまいち分からず、最初はちょっと困惑してました;
登場人物は個性的だけど割りとあっさりしていて、共感や感情移入はし易く読みやすい印象。
少しずつ主人公(?)の百之喜の無能さとヘタレな性格と不思議な体質が見えてくると面白くなってきました!
もともと巻き込まれ型の主人公好きですしね。
読んでいるとどちらかというと弁護士の雉名の方が百之喜よりも目立っている気がしたりも。
自主的に考え行動しているせいかな。
登場人物のそれぞれが魅力的なところと苛立つ面を持っていて、生き生きしているように感じた。
短所も魅力的というキャラも好きだけど、こういうのもいいな。
百之喜の体質が特異すぎる分、他の人物は有能だけど普通の人間の範囲内の能力しか持っていないというところもバランスよかったと思う。
昔ながらのサスペンスやミステリでいかにも登場しそうな吾藤田家がぞっとする面白さがあるんだけど、なんかこう本当にあったら関わりたくない家。
近所にあるのも嫌だ。
読み進めていくとあまりにぶっとんでいて、驚かされるやら呆れるやら…怖い。
女性がたくましい小説だった。
依頼人の椿さん、秘書の凰華、名前と持ってる車しか出てこない銀子さんなど、そして憲子さんがたくましい。
境遇が凄まじかったとはいえ、よくあの空気に染まらずに自分を保って意思を貫いたよなぁ。
銀子さんに関しては百之喜とその他の人々にも恐れられてるしな…
事件の真相は予想以上に終盤で出てきてちょっとびっくり。
吾藤田家ドロドロ過ぎるだろう。
あまりに凄すぎて彼らをエイリアンだと言った憲子さんには同意せざるを得ない。

か行

Posted by tukitohondana

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