恋物語の悪役をあなたに
主人公のダイアナが物語の悪役のモデルにするためにアーダーリー子爵に興味を持つという始まりが面白そうで久しぶりのヒストリカルロマンスに手を出してみた。
爵位や容姿に釣られてやってくる女性たちにうんざりしてる子爵が、小説を読むことが趣味な変わり者の令嬢に惹かれるという流れ。
時代的に女性は小説を読むべきでは無いという背景があるので、ダイアナは変わり者ということになってる。あと公爵令嬢としてはちょっとフリーダム過ぎるかもしれない。
変わり者設定好きなのでこのヒロインには好感が持てる。
エドモンド(アーダリー子爵)とダイアナ、それぞれがよく遭遇するなと思っているのが面白い。
単に二人が本好きなのも理由な気がするけど、ちょっとダイアナがわざとやってるのかと疑いかけてたな;小説の登場人物のモデルにしたがってたし。
エドモンドの好きな女神がアテナでダイアナの好きな神がハデスなのいいな。私自身どちらの神も好きだというのもあるけど、ダイアナはまさにアテナっぽい女性だし、エドモンドはハデスっぽいので。(彼に関しては作中で友人にもハデスと冗談で言われていた)
エドモンドがダイアナが欲しがってた本を送ったのは失敗だよな…と思ってたらちゃっかり徹夜して読んで返してて笑った。まぁ、あれだけ読みたがっててしばらく手に入らない本だもん。本好きなら読むよね。
蜘蛛の研究者で作家のブロムウェル卿がこの作中で最も好感が持てる人物かも。
彼はエドモンドを正当に評価し感謝しているし、ダイアナのことも素直に自分の著書のファンとして認識してる。
一方、フォールストンについてはダイアナに求婚してからの言動で好感度が地に落ちたな…ちょっと同情もしてたんだけど。せめてダイアナを本当に好きなら良かったんだけどね。
エドモンド、周囲の誤解が凄いけど知れば知るほど本当はいい人でびっくりする。ただのいい人にはなかなか惹かれないけど、これだけ表向きの言動や噂と本来の人物像に差があるとギャップ萌えする。
ダイアナ、令嬢として変わってるの読書好きで自分の意見が話せるとこだけじゃないなこれは;フェンスや水道管よじ登る令嬢って、お転婆どころか運動能力高すぎる。
アデューは二度と会わない場合につかうらしいので再会を約束するシーンで出てきて違和感があった。
1年間は絶対会わないという決意を込めてかな。
ダイアナとエドモンド、二人の結末は恋愛面以外も楽しいもので、エドモンドの友人たちが語らうエピローグも面白かった。
久しぶりに読んだロマンス小説がこれで良かった。読み易いし内容も好みだったのでまたこちらのジャンルも色々読んでいきたいなと思った。